Microsoft Azureで利用可能なデータベースサービスの機能と特徴

技術者が語るMicrosoft Azure
今回は、Microsoft Azure(以下、Azure)で提供されているリレーショナルデータベース(RDB)のサービスをご紹介します。
※コストについては、2022年6月現在の東日本リージョンでの利用料です。
1.Azure SQL Database
SQL Server のデータベースを提供するサービス(PaaS)です。
ユーザーが管理するのはデータベースのみで、アップグレードや監視、バックアップなどはすべてAzure側で管理するのが特徴です。
SSMSから接続して操作することも可能ですが、オブジェクトエクスプローラーに表示される項目はデータベース、セキュリティなどに限定されているので、若干違和感があるかもしません。
デプロイ可能なモデルは以下の2つがあります。
●単一データベース
1つのデータベースを利用するモデルです。
専用のデータベースエンジンを使用して、各データベースが分離されます。
SLAは99.99%、参考までに購入モデル「vCore」でサービスレベル「汎用」の料金は以下の通りです。
データベース | ローカル冗長 | ゾーン冗長 | ||||
コンピューティングレベル | サーバレス | プロビジョニング | サーバレス | プロビジョニング | ||
料金(月額) | コンピューティング | ¥74.9513(仮想コア時間) | ¥50,478.50~ | ¥119.93(仮想コア時間) | ¥69,633.24~ | |
ストレージ | ¥17.55~/GB | ¥17.5433~/GB | ¥35.09~/GB | ¥35.0865~/GB | ||
バックアップ | LRS | ¥15.255/GB | ||||
ZRS | ¥19.069/GB | |||||
RA-GRS | ¥15.255/GB | |||||
長期保存 | LRS | ¥3.8138/GB | ||||
ZRS | ¥4.7672/GB | |||||
RA-GRS | ¥7.63/GB |
●エラスティックプール
比較的規模の大きい、複数のデータベースを利用する場合に適したモデルです。
複数のデータベースに対し、設定した価格でリソースを柔軟に振り分けて利用することが可能です。
データベースのリソースを必要な分だけ振り分けることで、過剰or過小なリソースとなるリスクを回避できます。
※SLAおよび料金は単一データベースのプロビジョニングと同じ
単一データベースをリソース共有のためにエラスティックプール内に移動したり、そこから出したりすることも可能です。
2.Azure SQL Managed Instance
SQL Serverと高い互換性のあるPaaSのSQLServerです。
Azure SQL Databaseでは基本的にDB機能を提供されていますが、Azure SQL Managed Instanceではインスタンスを丸ごと提供されます。
そのため、SSMSからSQL Serverと同じような操作が可能となり、SQL Server経験者にとっては、とっつきやすい印象があります。
ただし、Azure SQL Managed InstanceはDB数が制限(100個まで)されることや、監査設定方法など、SQL Serverと異なる部分もあるので、注意が必要です。
SLAは99.99%、参考までにハードウェアの種類「Standard」でサービスレベル「汎用」の料金は以下の通りです。
インスタンス | 単一インスタンス | インスタンスプール | ||
料金(月額) | コンピューティング | ¥100,957.37~ | ¥201,914.74~ | |
ストレージ | ¥17.55/GB | |||
バックアップ | LRS | ¥15.26/GB | ||
ZRS | ¥19.07/GB | |||
GRS | ¥15.255/GB | |||
RA-GRS | ¥12.8397/GB | |||
長期保存 | LRS | ¥3.82/GB | ||
ZRS | ¥4.77/GB | |||
GRS | ¥7.63/GB | |||
RA-GRS | ¥12.8397/GB |
3.SQL Server on Azure VM
Azure VM上にSQL Serverを構築するサービス(IaaS)です。
OSは、Linux(RHEL、SUSE、Ubuntu)、Windows Serverがサポートされています。
オンプレミスとほぼ同一の管理ができるため、クラウド環境への移行が最も容易なサービスといえます。
SLAは99.95%以上、参考までにOS/ソフトウェア「SQL Server Standard」でカテゴリ「汎用」の料金は以下の通りです。
VMシリーズ | Av2 Standard | Bs | Dadsv5 | Dadsv4 |
料金(月額) | ¥42,131.7672~ | ¥38,382.5968~ | ¥49,555.8672~ | ¥48,627.8547~ |
4.Azure Database for PostgreSQL
PostgreSQL のデータベースを提供するサービス(PaaS)です。
デプロイ可能なモデルは以下の3つがあります。
●シングルサーバ
最小の要件でDBをカスタマイズできる、完全に管理されたモデルです。
Azure SQL Databaseの単一データベースのPostgreSQL版というイメージです。
SLAは99.99%、参考までにサービスレベル「汎用」の料金を後ほど述べたいと思います。
●フレキシブルサーバ
可用性、サーバ起動停止、メンテナンス期間など、管理機能と構成設定をより細かく制御できるモデルです。
より優れた制御とカスタマイズが必要なアプリケーション開発や、メンテナンス期間を管理したい場合などに適しているようです。
SLAは99.99%、参考までにサービスレベル「汎用」の料金を、こちらも後ほど述べたいと思います。
●Hyperscale(Citus)
並列処理に特化したモデルです。
コンピューティング、メモリ、ストレージをスケールアウトすることが可能で、大規模なデータセットの処理に適しているようです。
SLAは99.95%、参考までにサービスレベル「汎用」の料金は、他の2つと合わせて以下の通りです。
なお、Hyperscaleについては、最小構成(ワーカーノード×2、コーディネーターノード×1)の料金です。
デプロイモデル | シングル | フレキシブル | Hyperscale | |
料金(月額) | コンピューティング | ¥23,552.958~ | ¥21,808.294~ | ¥192,793.855~ |
ストレージ | ¥17.544/GB | ¥26946.45/GB | ||
バックアップ | ¥15.255/GB | ¥12.077/GB | ― |
5.Azure Database for MySQL
MySQLのデータベースを提供するサービス(PaaS)です。
デプロイ可能なモデルは以下の2つがあります。
●シングルサーバ
最小の要件でDBをカスタマイズできる、完全に管理されたモデルです。
ただし、これはすでに単一サーバを活用している既存のアプリケーションにのみ推奨されています。
SLAは99.99%、参考の料金はAzure Database for PostgreSQLのデプロイモデル「シングル」と同じです。
●フレキシブルサーバ
可用性、サーバ起動停止、バースト可能コンピューティングなど、管理機能と構成設定をより細かく制御できるモデルです。
新規開発や移行など、基本的にはこのモデルが推奨されています。
SLAは99.99%、参考の料金はAzure Database for PostgreSQLのデプロイモデル「フレキシブル」と同じです。
6.Azure Database for MariaDB
MariaDBのデータベースを提供するサービス(PaaS)です。
組み込みの高可用性や、必要に応じて数秒でスケーリングができるなどの特徴があります。
オープンソースの任意のツールとプラットフォームを使用してアプリケーション開発が可能なため、既存のスキルをそのまま活用できます。
SLAは99.99%、参考の料金はAzure Database for PostgreSQLのデプロイモデル「シングル」と同じです。
7.おわりに
Azureで提供されているリレーショナルデータベース(RDB)のサービスをご紹介しました。
SQL Serverに関するデータベースサービスは3つの選択肢があり、ユーザーが管理する範囲によって使い分けることができます。
また、オープンソースデータベース(OSSDB)については、メジャーな3種類のデータベースが利用できるため、オンプレミスからの移行もスムーズに行えるのが特徴です。
今回は、リレーショナルデータベース(RDB)をご紹介しましたが、これら以外にもMongoDB、Cassandraに対応したAPIを搭載したNoSQLデータベースとして「Azure Cosmos DB」、毎秒数百万のリクエストをミリ秒未満のレイテンシーで処理可能なRedisと互換性のあるインメモリデータベースとして「Azure Cache for Redis」が提供されています。
他のメジャークラウドと比較しても遜色ない豊富なデータベースサービスを、Azureでは提供しています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。