オンプレミスからのAzure移行(インフラ編)

技術者が語るMicrosoft Azure

近年、企業のITインフラはクラウドへの移行が進んでおり、その中でもMicrosoft Azure(以下Azure)は特に注目を集めています。
オンプレミス環境からAzureへの移行は、コスト削減やスケーラビリティの向上など、多くのメリットをもたらします。
本記事では、オンプレミスからAzureへのインフラ移行におけるポイントや注意点を解説し、移行に必要なツールの一例を紹介します。

1.オンプレミスからAzure移行のメリットと注意点

オンプレミス環境からAzureへの移行は、多くのメリットをもたらします。

主なメリットは以下の通りです。

オンプレミスからAzure移行のメリット

コスト削減 初期投資が少なく、使用した分だけ支払う従量課金モデルが導入可能。
ハードウェアの維持管理やアップグレードコストを削減。
スケーラビリティ リソースを容易に追加・削減できるため、柔軟性が高い。
可用性と信用性 複数のデータセンターを持ち、冗長性を提供。
運用効率の向上 自動化ツールやマネージドサービスが豊富で、運用負担を軽減。
セキュリティの強化 最新のセキュリティ対策を提供しており、データ保護のためのさまざまなアプローチが可能。

しかし多くのメリットがある反面、移行に際していくつかの注意点も存在します。

オンプレミスからAzure移行の注意点

移行の複雑さ 既存システムの移行計画やデータ移行に伴う技術的な課題を検討する必要がある。
コスト管理の必要性 従量課金モデルのため、事前に計画を立てずに移行すると予期しないコストが発生する可能性がある。
ネットワーク依存 インターネット接続が不安定な場合、サービスのパフォーマンスに影響が出ることがある。
学習 新しいプラットフォームやツールに対する学習が必要で、管理者のトレーニングが求められる。

これらの注意点を十分に理解し、慎重に計画を立てることが、オンプレミスからAzureへの移行には不可欠です。
次章では、移行におけるポイントと、実際に使用される移行の支援ツールについて説明します。

2.Azure移行支援サービス Azure Migrate

前章で挙げた移行の注意点を解決するためには、Azureの支援サービスの活用が重要なポイントになります。
今回は、さまざまな支援サービスの中からAzure Migrateについて紹介します。
Azure Migrateは、オンプレミスや他のクラウド環境からAzureへの移行をサポートするサービスです。
移行計画の作成、環境の評価、実際の移行プロセスを管理するためのさまざまな機能を提供しており、前章の注意点に対し以下のような有効な対応ができます。

・移行の複雑さの解決
既存環境の評価を行うためのツールを提供しており、システムの移行に伴うリスクや課題を事前に把握し、計画的に移行ができます。

・コスト管理の支援
移行に必要なコストの試算ができ、移行後のコストを予測するためのツールも用意されています。
これにより、予期しないコストを防ぐことができます。

・ネットワークの最適化
ネットワークパフォーマンスに影響を与える可能性のある要因を事前に確認できます。

・学習とトレーニングの支援
Microsoft公式ドキュメントやMicrosoft Learn内で移行に関する教育リソースを提供しており、移行前後の管理者の学習を支援しています。

3.Azure Migrateの移行ツール紹介

本章では、インフラの移行で使用するAzure Migrateの主なツールを紹介します。
これらの移行支援ツールを活用することで、効率的にオンプレミスからAzureへの移行を行うことができます。
各ツールはそれぞれ異なる課題に対応しており、移行プロセス全体をサポートしています。

1. Azure Migrate: Server Assessment
Server Assessmentは、オンプレミスの仮想マシン・物理サーバを検出してAzureへの移行について評価するツールです。
移行を計画する際、まずは既存システムの詳細な評価が不可欠です。
Server Assessment機能は、既存のオンプレミスのサーバの状態を確認し、Azure移行のための推奨事項を提示します。
これにより、移行対象となるサーバ間の依存関係や必要なリソースを正確に把握し、移行計画を立てやすくなります。

Azure Migrate: Server Assessmentには以下のような機能があります。

Azure対応性 オンプレミスサーバがAzureへの移行に適しているかを診断。
Azureのサイジング 移行後のAzure VM・Azure SQL構成のサイズ、 Azure VMware Solutionノードの数を推定。
Azureコストの見積もり Azureでオンプレミスサーバを実行する場合の月間推定コストを見積もる。
依存関係の分析 オンプレミスサーバの依存関係を視覚化。
例:サーバをグループ化、一緒に移行する必要があるサーバの特定など

2. Azure Migrate: Server Migration
Server Migrationは、実際のサーバの移行を行うツールです。
オンプレミスの仮想マシンや物理サーバのAzure移行をサポートします。
複数のサーバを一度に移行できるため、効率的に移行が可能です。
また、移行後のリソース設定を提案してくれるため、無駄なリソースの使用を防ぐことが可能です。

3. Azure Migrate: Azure VMware Solution
VMware Solutionは、VMware環境をAzureに移行するためのツールです。
VMware環境に特化しており、VMware vSphere環境をそのままAzure VMware Solution上で実行できるようにするため、仮想マシンの移行や拡張が容易になります。

4.まとめ

今回はオンプレミスからのAzure移行インフラ編について紹介しました。
Azure Migrateには多種多様なツールがあり、それぞれのユーザー環境に合った移行手段が提供されています。

システムエグゼはAzureの導入から運用までをご支援する「Microsoft Azure導入・運用支援」をご提供しております。その他最新技術を活用したソリューションでも多くの実績があります。
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