SQL Server 2022 | Azure連携の観点から見る新機能紹介とアップグレードパスを解説

技術者が語るMicrosoft Azure

SQL Server 2022は2022年11月に正式リリースされ、2024年4月現在MicrosoftのSQL Server製品の最新のメジャーリリースです。
SQL Server 2022ではセキュリティ、パフォーマンス、可用性、データ仮想化など、基本機能の向上に加えAzureとの機能連携が従来のバージョンより強化されました。
今回は、SQL Server 2022で追加された新機能を紹介します。

1.SQL Server2022新機能紹介

SQL Server 2022では、Azureサービスとの統合を可能にすることで、以下の機能が追加されました。

  • 分析機能の強化
  • クラウドとオンプレミスのハイブリッド機能
  • パフォーマンスとデータ仮想化の改善
  • セキュリティと可用性の向上

今回はこの中から、分析機能の強化にあたる「Azure Synapse Link for SQL」と、クラウドとオンプレミスのハイブリッド機能にあたる「Azure SQL Managed Instance リンク機能」について紹介します。

Azure Synapse Link for SQL

SQL Server 2022から追加されたAzure Synapse Link for SQLでは、SQL Server 2022およびAzure SQL DatabaseからAzure Synapse Analyticsへの増分変更を自動的に抽出、同期するため、ほぼリアルタイムでの分析が可能になりました。
これらの機能により、従来のAzure Synapse Analyticsでは必須だったETLツールやスクリプトによるデータ複製や、運用ジョブによる管理が不要となり、運用ワークロードへの影響の最小化、ETLやデータ統合などの複雑さの軽減が期待できます。

Azure SQL Managed Instance リンク機能

SQL Serverのクラウド版であるAzure SQL Managed Instanceのリンク機能により、SQL Server 2022 データベースとAzure SQL Managed Instanceの間で、ほぼリアルタイムにレプリケーションができるようになりました。
この機能により、Azure SQL Managed Instanceを障害時のディザスターリカバリとして利用することが可能です。
ただし注意点として、2024年4月現在ではオンラインでのAzure SQL Managed InstanceからSQL Server 2022へのフェールバックはプレビュー段階となっています。
一般公開されている手段としては、バックアップを用いた手動復旧が必要となります。

また障害復旧だけでなく、クラウドに移行することなくAzureサービスを使用したい場合や、ダウンタイムを抑えたクラウドへの移行に利用することも可能です。
ただし、これらの機能を利用する場合は分散型可用性グループの設定が必要になることに注意が必要です。
分散型可用性グループは、SQL Server 2016以降で使用でき、2つの異なる可用性グループにより構成されます。

例えばディザスターリカバリとして利用する場合は、SQL Server 2022 とAzure SQL Managed Instance 間で分散可用性グループを構成することになりますが、構成はSQL Server Management Studio (SSMS)からグラフィカルに行うことが可能です。

2.既存バージョンからのアップグレード

SQL Server 2022への既存バージョンからのアップグレードは、下記のバージョンがサポートされます。

  • SQL Server 2012 (11.x) SP4 以降
  • SQL Server 2014 (12.x) SP3 以降
  • SQL Server 2016 (13.x) SP3 以降
  • SQL Server 2017 (14.x)
  • SQL Server 2019 (15.x)

ソースデータベースについては、互換性レベル90から移行が可能になります。
互換性レベルが90の場合は、アップグレード時に自動的に互換性レベルが100に変更されるため、注意が必要です。
互換性レベルが100以上の場合はSQL Server 2022へアップグレードしても互換性レベルは変更されません。

3.おわりに

今回は、SQL Server 2022 新機能の一部について紹介しました。
SQL Server 2022の大きな特長はクラウドとオンプレミスのハイブリッド機能によるAzure クラウドとの接続、およびそれらを利用した高レベルなHA/DR(高可用性/障害復旧)、分析、セキュリティです。
これらの特長によって、オンプレミスを使い続けながらクラウドを活用できる、今後のクラウド移行に備えた構成を組みやすいといったメリットがあります。

システムエグゼではAzure、データベースで多くの実績を持ち、「Microsoft Azure導入・運用支援」などのソリューションも提供しています。
SQL Serverのバージョンアップや移行をご検討の際にはお気軽にご相談ください。