【ビッグデータ分析サービス比較】3大クラウドサービスの各特長を解説

技術者が語るMicrosoft Azure

ビッグデータ分析サービスは幅広い分野で利用されており、顧客行動の分析、市場動向の予測、リスク管理、医療診断などさまざまな用途があります。
企業や組織はこれらのサービスを利用して競争優位性を確立し、効果的な意思決定を行うことが可能になります。

今回は、3大クラウドが提供しているビッグデータ分析サービスであるAzure Synapse Analytics、Amazon Redshift、Google BigQueryを比較し、それぞれの特長を紹介します。

1.ビッグデータ分析サービスとは

ビッグデータは、従来のデータベースや処理ツールでは扱いにくいほど大量かつ多様な情報を指します。
ビッグデータ分析サービスは、このような大規模かつ複雑なデータから有益なパターンや傾向を発見し、企業の意思決定プロセスを支援します。

一般的なビッグデータ分析サービスには、データの収集、クリーニング、処理、分析、可視化が含まれます。
これにより、企業は市場動向、顧客行動、競合情報などを理解し、効果的な戦略の策定や業績の向上に役立てることができます。
また、機械学習や人工知能(AI)を活用して予測分析やパターン認識なども行うことがあります。

2.各サービスの特長

ここではAzure Synapse Analytics、Amazon Redshift、Google BigQueryの主な機能について紹介します。

Azure Synapse Analytics

Azure Synapse Analytics は、Microsoft Azureで提供されるデータ分析プラットフォームです。
データレイク、データウェアハウス、ビッグデータ分析を一元管理できることが特長で、柔軟な分析言語やスケールアウト機能を備えています。
スケーラビリティやセキュリティにも優れており、Azureサービスとの深い統合により、多様なサービスと連携することができるため、ビジネスニーズに合わせたデータ管理が可能です。

Amazon Redshift

Amazon Redshift は、Amazon Web Services(AWS)で提供される高性能データウェアハウスサービスです。
カラムベースのアーキテクチャと圧縮技術により書き込みの性能が向上し、ペタバイト単位のデータを高速に書き込みできることが特長です。
柔軟なスケーラビリティとAWSサービスとの統合により、大規模なデータ分析をスムーズに行えます。

Google BigQuery

Google BigQueryは、Google Cloud Platformで提供されるサーバレスなデータウェアハウスサービスです。
分散データ処理をベースにしているため、SQLを使用した書き込みを迅速に実行することが可能で、大容量のデータを一時的に分析するのに適しています。
Google Cloud Platformとの連携が強力で、データの統合や分析が簡単に行えます。

3.ビッグデータ分析サービス比較

ここではAzure Synapse Analytics、Amazon Redshift、Google BigQueryの特長を比較します。

項目 Synapse Analytics Redshift BigQuery
パフォーマンス 分散処理エンジンによる並列処理やインメモリ処理により高速処理を実現。 カラムベースのデータストレージと圧縮により高速処理を実現。 サーバレスな分散処理エンジンにより高速処理を実現。
スケーラビリティ 分散処理とサーバレスのプロビジョニングによる自動スケーリングや、データ規模に応じた柔軟な手動スケーリングが可能。 自動スケーリングやマルチノード、クラスターの動的変更が可能。 サーバレスアーキテクチャによる自動スケーリング。
言語 T-SQL、Python、Spark SQL、.NETなど、多様な言語に対応。 SQL、Python、Rなどの言語に対応。 SQL、Python、JavaScriptなどの言語に対応。
分析 分析に必要な機能を統合したプラットフォームであり、Power BIとMachine Learningとの統合により、高度な分析が可能。 データウェアハウス機能に加え、ビジュアライゼーションやBIツールとの連携が可能。 機械学習機能やビジュアルツールを利用した高度な機械的分析が可能。
サービス統合 分析に必要な機能を統合したプラットフォームであり、Data Lake、Power BI、Machine Learning等と密接に連携している。
その他Azureサービスとも統合しており、一部の機能を既存Azureサービスに変更が可能
AWSサービスとの統合(S3、Lambda、Glue、EMR等) Google Cloudサービスとの統合(Google Data Studio、Cloud Storage、Cloud Machine Learning Engine等)
セキュリティ Microsoft Entra ID(旧Azure AD)との深い統合により、強固なアクセス制御を提供。 VPCやIAMロールによるアクセス制御やSSL暗号化などを提供。 IAMロールによるアクセス制御やデータ暗号化などを提供。
コンプライアンス GDPR、HIPAA、ISOなどの規制に準拠。 PCI DSSやHIPAAなどの規制に準拠。 GDPR、HIPAAなどの規制に準拠。
料金体系 データ処理やストレージの使用量に基づく従量課金。 クラスターの実行時間やストレージの使用量に基づく従量課金。 実行時間やストレージの使用量に基づく従量課金。

4.おわりに

今回は3大クラウドが提供するビッグデータ分析サービスであるAzure Synapse Analytics、Amazon Redshift、Google BigQueryの特長について紹介しました。
各ビッグデータ分析サービスとも独自の特長があるので、ビジネス要件や利用しているクラウドプロバイダー、料金体系などを考慮して選択する必要があります。

新規で分析サービスをお探しであれば、Azure Synapse Analyticsをお勧めします。
Azure Synapse Analyticsの最大の特長は、データウェアハウスとビッグデータ処理を統合し、強力な言語と Azureサービスとの深い統合を提供しているため、データ分析に必要なデータ収集・蓄積、抽出・加工、保管、分析といった工程を一元管理できることです。
Azureサービスとの親和性が高く、セキュリティ面でも優れている点の魅力の一つです。

システムエグゼでは、Azure分析基盤の構築から運用までをサポートするサービスも提供しています。
Azure Synapse Analyticsの構築や移行をご検討の際には、システムエグゼまでお気軽にご相談ください。