3大クラウドのPostgreSQLマネージドサービス比較

技術者が語るMicrosoft Azure

今回は、3大クラウドプラットフォームであるMicrosoft Azure(Azure)、Amazon Web Services (AWS)、Google Cloud (GCP)のPostgreSQLマネージドサービスについて紹介します。

なお、各サービスの利用料は2022年12月現在のものとなります。
※Azureは円建てでの支払いが可能ですが、他のクラウドサービスは米ドル建てとなっているため、米ドル表示としています。

1. はじめに

Azure、AWS、GCPでは以下のPostgreSQLマネージドサービスを提供しています。

■Microsoft Azure
・Azure Database for PostgreSQL
・Azure Cosmos DB for PostgreSQL

■AWS
・Amazon RDS for PostgreSQL

■GCP
・Cloud SQL for PostgreSQL

本ブログでは、それぞれのサービスの特長や料金について簡単にご紹介します。

2. Azure Database for PostgreSQL

Microsoft AzureによるPostgreSQLのデータベースを提供するサービス(PaaS)です。
デプロイ可能なモデルは以下の3つがあります。

●シングルサーバ
最小の要件でDBをカスタマイズできる、完全に管理されたモデルです。
シングルといっても、内部的にはシステムはコンテナ化、データは冗長化されており、フェールオーバーすることが可能です。
サポートされているバージョンは10/11で、基盤OSはWindowsです。
SLAは99.99%、一般的なフェールオーバー時間は60秒~120秒です。

●フレキシブルサーバ
可用性、サーバ起動停止、メンテナンス期間など、管理機能と構成設定を細かく制御できるモデルです。
より優れた制御とカスタマイズが必要なアプリケーション開発や、メンテナンス期間を管理したい場合などに適しています。
こちらも内部的には可用性ゾーンによる冗長化がされています。
サポートされているバージョンは11/12/13/14で、基盤OSはLinuxです。
SLAは99.99%、一般的なフェールオーバー時間は60秒~120秒です。

●Hyperscale(Citus)
Hyperscaleは、2022年10月末からCosmos DB for PostgreSQLに変更となったため、「3.Azure Cosmos DB for PostgreSQL」でご説明します。

シングルおよびフレキシブルサーバの料金は以下の通りです。
バックアップはストレージでプロビジョニングされたサイズまでは無料で、それを超えた場合、追加として表の通り料金が発生します。

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3. Azure Cosmos DB for PostgreSQL

Microsoft Azure による PostgreSQL のデータベースを提供するサービス(PaaS)です。
並列処理に特化したサービスですが、単一ノードから開始することが可能で、シームレスにスケーリングできることが特徴です。
コンピューティング、メモリ、ストレージをスケールアウト可能で、大規模なデータセットの処理に適しています。

SLAはマルチノードで最大99.999%、サービスの料金は以下の通りです。
なお、マルチノードについては最小構成(ワーカーノード×2、コーディネーターノード×1)の料金です。
バックアップは2023年5月以降、追加使用量に料金が発生します。

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4. Amazon RDS for PostgreSQL

AWS による PostgreSQL のデータベースを提供するサービス(PaaS)です。
RDSは、提供されているRDBMSいずれもフルマネージド型であり、インスタンスクラス最適化されたパラメータの事前設定、自動バックアップ、モニタリング機能、自動パッチ適用などをサポートしています。

サポートされているバージョンは11/12/13/14です。
SLAは99.95%、一般的なフェールオーバー時間は通常35秒以内(2スタンバイのマルチ構成)です。
Azure Database for PostgreSQLのシングルと同程度のリソースを最小構成と想定した料金は以下の通りです。

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AWSの場合、マルチ構成にすることでフェールオーバー時間が保証されているようです。
また、Azureと同様にバックアップについてはストレージでプロビジョニングされたサイズを超えた場合に料金が発生します。

5. Cloud SQL for PostgreSQL

GCP による PostgreSQL のデータベースを提供するサービス(PaaS)です。
GCP のサービスもAWSと同様、フルマネージド型のDBです。
できることもAWSと大体同じような印象です。

サポートされているバージョンは9/10/11/12/13/14です。
SLAは99.95%、一般的なフェールオーバー時間は通常180秒(HA構成)です。
Azure Database for PostgreSQLのシングルと同程度のリソースを最小構成と想定した料金は以下の通りです。

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GCPはvCPUとメモリで料金が分かれているため、コンピューティングの設定が他のサービスよりも自由度が高いです。
バックアップも他のサービスと異なり、使用量に応じて料金が発生するようです。
また、vCPUを共有するインスタンスというコンピューティングとストレージがセットになったリーズナブルなサービスも提供されています。

6.おわりに

3大クラウドプラットフォームにおけるPostgreSQLマネージドサービスのご紹介は以上となります。
本ブログがご参考になれば幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。