クラウド型のBIツールは何がいい?メリットや費用対効果などについて解説

データ活用ことはじめ

ビジネスのIT化が進む中で、社内で保有するデータが増えているにもかかわらず、有効活用できていない悩みはありませんか?
BI(ビジネスインテリジェンス)とは、そのような社内データやビッグデータなどさまざまな情報を収集、分析して、企業組織の意思決定をスムーズにし、円滑に業務をおこなうためのプロセスや役割、技術を意味します。

本記事では、BIを実現するためのツールの種類やメリット、機能についてご説明したうえで、選定ポイントと人気のBIツールをいくつかご紹介します。
クラウド型BIツールを選定する際にご活用ください。

1.BI(ビジネスインテリジェンス)ツールとは?

BIツールとは、社内に蓄積されたデータやビッグデータなどを収集、分析し、企業における意思決定や業務を促進するためのツールのことです。

企業によってはデータをExcelで管理されているところも多いでしょう。
しかし、起動の際に重くなる、データ処理には専門的な関数の知識が必要になるなど、Excelにはデメリットが多いのも事実です。

そのようなデータ運用に関するストレスを減らしてくれるのがBIツールです。
高速かつ大量のデータ分析ができるため、経営判断や業務への活用も容易に行えるようになります。

BIツールにはオンプレミス型とクラウド型との2種類がある

BIツールは、大きく分けるとオンプレミス型とクラウド型の2種類があります。
オンプレミス型とは、企業内にサーバやシステムを構築して、自社でBIツール運用する方法を言います。
一方、クラウド型はインターネット経由で外部サーバを利用してBIツールを運用します。

2.クラウド型BIツールのメリット

オンプレミス型、クラウド型どちらにもメリット・デメリットは存在しますが、最近、特に導入が進んでいるのはクラウド型です。
ここでは、クラウド型BIツールのメリットを見ていきましょう。

コストを抑えられる

オンプレミス型は、自社に適したカスタマイズができるメリットがありますが、開発コストや保守費用がかかる、専門知識を持った社員を雇わなければならないなどデメリットもあります。

一方のクラウド型は、サーバやシステムを自社で準備しなくても良いため、初期費用や保守費用がかかりません。
契約している利用料金を支払うだけで済むので、コストがオンプレミス型に比べて大幅に抑えられます。

導入に時間がかからない

オンプレミス型では、サーバなどハード面の準備に数カ月を要することがあります。
一方、クラウド型では契約後にアカウントを作成することで利用が開始できるため、導入時間が短く済みます。

インターネット環境があれば手軽にデータを閲覧、共有できる

クラウド型のBIツールは、インターネット上のサーバにデータを保存し、分析処理を施します。
そのため、環境設定によっては社内に限らず、自宅やスマホからなど手軽にデータを閲覧、共有できます。

保守運用はツールの提供会社に任せられる

自社で運用するオンプレミス型の場合、社内にエンジニアを配置するなど、システムにトラブルがあった場合に備えなければなりません。
一方、クラウド型ではツールの開発や保守、運用を提供会社が行います。
社内に対応のための人員を置く必要がないため、別の業務にリソースを割くことができます。

3.クラウド型BIツールの一般機能

kotohajime14_05.jpg

クラウド型BIツールを使えばデータの収集から分析、可視化に至るまで様々な運用ができるようになります。
ここでは、クラウド型BIツールが備えている一般的な機能についてご説明します。

データ分析

BIツールのメイン機能ともいえるのが、分析機能です。
例えば、販売管理システムなどの基幹系システムに蓄積されているデータを連携し、そのデータを分析します。
ABC分析やOLAP分析、予実分析などさまざまな分析手法がありますが、利用できる手法はツールによって異なります。
導入時は自社に必要な分析が可能か確認しましょう。

データマイニング

データベースやビッグデータなどの膨大なデータに対して、統計的な処理やパターン認識を施すことで自社に必要な情報を採掘(データマイニング)する機能です。
人では見つけられないような傾向やパターンを見つけ出すことに適しています。

データマイニングレポーティング

マイニングや分析によって得られた情報をレポートとして出力する機能です。
分析結果だけでは判断しにくい情報も、レポーティング機能を使って加工し、PDFやExcel、PowerPointなどのファイル形式で出力すれば、視覚的に見やすくなり、社内共有もしやすくなります。

データビジュアライズ

レポート結果では分かりにくい分析結果をグラフや集計表、チャート図などの形式にして可視化する機能です。
可視化されたデータはツール上でリアルタイムに確認できるので、スピーディな経営判断に役立ちます。

4.クラウド型BIツールの選定ポイント

kotohajime14_02.jpg

クラウド型BIツールは種類が多く、何を導入すれば良いか悩まれる方も多いかと思います。
ここでは、クラウド型BIツールの選定ポイントについて、いくつかご紹介します。

料金プラン

BIツールには、数万円で契約できるものから数百万円かかるものまで、製品によってさまざまな料金プランがあります。
また、ユーザー数や利用データ量によって料金が変動する場合もあります。
事前に、利用人数や自社の課題、求める機能を検討した上で、コストが見合う商品を導入してください。

課金方法

製品によってはデータ量に応じて料金が変動します。
定額で利用できるのか、従量課金なのかを確認しておきましょう。
特に、扱うデータ量が多い企業やBIツールでのデータ更新を頻繁に行う場合は、後から高額な請求とならないためにも、よく確認してください。

操作性

BIツールは専門知識を持たない方でも容易に扱えるような設計となっています。
ただし、画面構成や操作性などは製品によって異なります。
例えば、データを確認する際のダッシュボードが見にくかったり、操作しにくい画面構成だったりする場合には、せっかく契約をしてもツール離れを招いてしまいます。
トライアル期間がある場合は実際に触ってみて操作性の良さを調べておきましょう。

サポート体制

クラウド型BIツールは自社で開発運用しないため、ツール利用時にトラブルが起きた場合、提供会社からのサポートを受けなければなりません。
また、導入初期などはツールに慣れておらず、操作につまずくことも多いでしょう。
そこで、サポート体制が万全かどうかを事前に確認してください。
サポートセンターの営業時間のほか、操作や運用を学べる教育サポートが整っているかも判断材料となります。

5.人気のクラウド型BIツール8選

ここからは実際に多くの企業で導入が進んでいる8つのクラウド型BIツールをご紹介します。
各ツールの特徴や料金を掲載しておりますので、貴社のBIツール導入にお役立てください。

①MotionBoard Cloud

kotohajime14_03.jpg

■概要

MotionBoard Cloudは、WingArc1st社が提供するクラウド型のBIツールです。
データベースやDWH、オンラインストレージの主要サービスに対応しており、データの集約が容易に行えます。
Salesforceを利用している場合は専用プランが用意されており、SalesforceのタブにMotionBoardが埋め込まれ連携できるなど、より快適な操作性が実現します。

■特長

  • さまざまなデータベースやクラウドサービスと連携し、データを集約できる
  • 分析したデータはリアルアイムで可視化
  • 特別なプログラミング知識や専門知識は不要で、地図機能などの多種多様なビジュアライズを実現
  • 導入時のコンサルティングサービスや契約中のサポート窓口、導入後の活用支援サービスなどサポート体制が充実している

■料金

無償トライアル期間あり:30日
※無償トライアルのお申し込みはこちらから
初期費用:10万円
月額:3万円~

②Dr.Sum Cloud

kotohajime14_04.jpg

■概要

Dr.Sum Cloudは、WingArc1st社が提供するクラウド型のデータ基盤ソリューションです。
国内でのシェア率は14%を誇り、導入実績は6,000社以上に及びます。

■特長

  • サーバライセンス体系で、ユーザー追加のためのライセンス管理が簡単
  • ノーコード開発ができ、マニュアルや学習コンテンツも完備されている
  • 特許取得の高速集計データベースで大量のデータ処理が短時間で実現

■料金

無償トライアル期間あり:期間は要問合せ
初期費用:50万円
月額:15万円~

③Microsoft Power BI

■概要

Microsoft Power BIは、マイクロソフト社が提供するBIツールです。
データの統合や分析はもちろん、レポートの作成やダッシュボード上での共同作業、インサイトの共有などを通じ円滑な業務をサポートします。

■特長

  • データの統合やモデル化、ビジュアル化が容易に行えるため、知識や経験が浅い人でも簡単にレポートを作成できる
  • AI機能により運用上の疑問に対する回答が即時に得られる
  • 同じデータの共同作業やレポート結果のコラボレーションを実現。Microsoft Office上でインサイトが共有できる

■料金

月額1,090円/Power BI Pro 1ユーザー
月額2,170円/Power BI Premium 1ユーザー
月額543,030円/容量単位(コンテンツ利用者にユーザーごとのライセンス付与は不要)

④Qlik Sense

■概要

Qlik Senseは、Qlik社が提供するセルフサービス型のBIツールです。
モバイルファーストで開発され、初心者でも簡単にデータ分析やビジュアライズ化が可能です。

■特長

  • エンドユーザーでも直感的に高度な分析が可能
  • さまざまな切り口からのデータ分析、可視化を実現
  • マルチデバイス対応で、パソコンだけでなくタブレットからでも作業が可能

■料金

無料トライアル期間あり:要問い合わせ
※費用は利用人数やライセンスの種類によって変動するため要問い合わせ

⑤Tableau Online

■概要

Tableau Onlineは、Tableau社が提供する分析プラットフォームです。
クラウドでのセルフサービス分析、共有、コラボレーションと多彩な機能を有しています。

■特長

  • 完全クラウドベースのため、インターネット環境があればどこからでも使える
  • モバイルアプリを使えばスマホからでもアクセス可能
  • ダッシュボードを公開すれば、社内やお客様へもデータを共有できる
  • データソースに対して自然言語で質問でき、ビジュアライゼーションの形で回答が得られる

■料金

無料トライアル期間あり:要問い合わせ
※費用は利用人数やライセンスの種類によって変動するため要問い合わせ
初期費用:年間102,000円(Tableau Creator)
年額:18,000円~(Tableau Viewer)、51,000円(Tableau Explorer)

⑥Oracle Analytics Cloud

■概要

Oracle Analytics Cloudは、オラクル社が提供するクラウド型BIツールで、高度な専門知識がなくてもデータ分析、共有が行えます。

■特長

  • 操作性に優れており、初心者でも容易にレポートやダッシュボードが作成可能
  • Excelデータをはじめとするさまざまなデータを統合、分析できる
  • AI機能によってセルフサービスや自由分析機能を強化できる

■料金

導入規模によって異なるため、要問い合わせ

⑦Amazon Quick Sight

■概要

Amazon Quick Sightは、Amazon Web Service(AWS)が提供するクラウド型のBIツールです。
専門知識が不要で、AWSのデータソースをはじめとするさまざまなデータを収集、統合分析したうえで可視化を実現します。

■特長

  • AWSのデータソースへ直接接続でき、機械学習を活用したデータインサイトが可能
  • データダッシュボードを作成し、他ユーザーと共有できる
  • 日本語や英語、中国語など複数言語でのサポートがある

■料金

月額12USD(10GB)~/1ユーザー(Standard Edition)
月額5USD/閲覧ユーザー、24USD/作成者ユーザー(Enterprise Edition)
その他、ユーザー料金、キャパシティーの料金についてはこちらをご参照ください。

⑧Sactona

■概要

Sactonaは、企業の管理会計や経営管理に特化したコンサルティングサービス会社アウトルックコンサルティングが提供する、クラウド型の経営管理システムです。

■特長

  • 豊富な知識とノウハウを有する会社だからこそ実現できる、管理会計・経営管理を高度化・効率化するための充実した機能
  • オートメーション機能を標準装備。データの取り込みからレポート出力までをワンクリックで実現
  • 10ユーザーから1,000ユーザーを超える大規模利用に至るまでスケーラブルな対応が可能

■料金

要問い合わせ

6.【まとめ】BIツールは複数を検討し、適したものを選ぶ

クラウド型BIツールは、うまく使えば業務時間の短縮や迅速な経営判断が可能になります。
ただし、製品によっては利用できる機能の種類や処理スピード、利用料金、サポート対応が異なります。
導入後に後悔しないためにも、無料のトライアル期間を活用したり、デモ画面やチュートリアル動画を閲覧したりするなどして、実際に利用するユーザーが快適に操作できるかを確認してください。

また、1つの製品にこだわらず、予算や求める機能に見合った製品を複数検討することも有益です。
自社に適したクラウド型BIツールを選定し、より良い経営判断やマーケティング、営業活動などビジネスの促進に役立てましょう。

※本内容は2021年11月時点の内容です。

BI_banner01.png