クラウド型BIツールの価格比較

データ活用ことはじめ

社内データの見える化やデータ活用、データ分析を行うにあたり、BI(ビジネスインテリジェンス)ツールの導入を検討されるお客様は多いと思います。

BIツールは昨今、非常に多くの魅力的な製品が登場しています。それぞれどんな機能があるのか、どんな特徴があるのか、価格はどのくらいなのか、BIツール導入をご検討されている方は一つに絞るのに苦労されているのではないかと思います。

そこで、本ブログではそれぞれのBIツールを様々な観点で比較検証していきたいと思います。

1.費用はどのくらいかかるのか?

まず、気になるのはやっぱり、「費用はどのくらいかかるのか?」ではないでしょうか。

一昔前までは、オンプレミス型のBIツールが主流でした。それが昨今では、クラウド型(SaaS型)のBIツールも各メーカーさんが力を入れてきており、種類も豊富になってきました。機能や価格体系等、それぞれで独自性や特色を打ち出してきており、よく考えられているなと、長年BI導入を担当してきた者にとっては感心するばかりです。

BIを導入する方にとって選択肢が増えるのはよいことなのですが、一方で「複数のBIツールの価格体系が違いすぎて比較が難しい」というのが、悩みの一つではないでしょうか。特に、昨今のクラウドBIの価格体系はオンプレミス版より複雑でわかりづらくなっているのではないかと思います。

クラウド型BIの料金プラン簡易比較

前項までの課題をふまえ、現在人気のあるクラウド型BIをいくつか弊社でピックアップし、以下にご紹介いたします。これからBI導入を検討する方にとって、少しでも参考になれば幸いです。

 サービス名 課金単位 料金/月 初期費用 無料トライアル
MotionBoard Cloud ユーザ ¥30,000~ ¥100,000 あり
Oracle Analytics Cloud 利用時間 ¥95,480~ *1 あり
Power BI ユーザ ¥1,099~ あり
Tableau Online ユーザ ¥8,500~ あり
Amazon Quick Sight ユーザ・セッション ¥990~ あり

*1 24時間*31日で1カ月分で算出
*1$=¥110として換算

2.特徴、ライセンス体系

次に、各サービスの特徴とライセンス体系について以下に記載します。

MotionBoard Cloud

<特長>

  • 30種類以上の豊富なチャートによる多彩な表現力でインサイトを直感的に把握できる
  • データのビジュアライズからExcelライクな集計表まで、様々な表現をリアルタイムに自動で行える
  • 国内ベンダーならではのデータ活⽤を推進する上でのサポート体制が充実

<ライセンス体系>

エディション 月額利用料
基本ライセンス 追加作成者 追加閲覧者
Standard ¥30,000 ¥3,000 ¥3,000
Professional ¥60,000 ¥6,000 ¥3,000
IoT ¥90,000 ¥9,000 ¥3,000
  • ユーザ単位の料金設定がベース
  • エディションの主な違い:Professional…外部DB接続 等、IoT…外部DB接続、リアルタイム連携 等
  • 10ユーザまでは基本ライセンスに含まれ、10ユーザ以上の場合は追加ユーザ分の料金が発生する
  • 開始月のみ初期費用10万円が発生する
  • 年間契約

MotionBoard Cloudの利用料についてはこちら

https://www.wingarc.com/product/motionboard/cloud/index.html

Oracle Analytics Cloud

<特長>

  • ダッシュボード、レポート、セルフBIを網羅し幅広い機能を提供する統合スイート製品
  • 簡単な設定で使いたい時に使いたい分だけ自由にスケーリングが可能
  • 自動化されたライフサイクル管理など、柔軟なサービス管理機能を実現できる

<ライセンス体系>

エディション 1時間(1OCPU)
Standard $1.0753 ¥118
Enterprise $2.1506 ¥237

*1$=¥110として換算

  • 利用時間、OPU数、インスタンス数での料金設定がベース
  • ストレージ領域は最低限2TB分必要なため別途$68/月かかる
  • エディションの主な違い:Standaed…セルフBI、EssBase向け/Enterprise…ダッシュボード、全社向け
  • 年間契約

Oracle Analytics Cloudの利用料についてはこちら

https://www.oracle.com/jp/cloud/price-list.html#analytics
https://www.oracle.com/cloud/cost-estimator.html

Microsoft Power BI

<特長>

  • 1つのプラットフォームでセルフサービスとエンタープライズ両方のデータ分析のニーズに対応
  • Office 365との親和性がよく、簡単にExcelに接続し分析できる。固定レイアウトのレポート利用、
    リアルタイム分析、TeamsSharePoint等の他インタフェースへコンテンツの埋め込みも可能

<ライセンス体系>

エディション 月額 単位
Pro $9.99 ¥1,099 1ユーザ
Premium $4,995 ¥549,450 ユーザ数無制限

*1$=¥110として換算

<エディション毎の主な違い>

  • Pro…ユーザ単位課金
  • Premium…月額固定、全社向け。

Microsoft Power BIの利用料についてはこちら

https://powerbi.microsoft.com/ja-jp/pricing/#powerbi-comparison-table

Tableau Online

<特長>

  • 一般的なダッシュボード機能に加え、セルフ分析機能が充実している
  • データに対し、自然言語で質問できる、「データに聞く」機能や、AIを活用した「データの説明を見る」機能が特徴的

<ライセンス体系>

 エディション 年額(1ユーザ) 最低購入数
Tableau Creator ¥102,000 1
Tableau Explorer ¥60,000 5
Tableau Viewer ¥22,000 100
  • ユーザ単位の料金設定がベース
  • 年間契約

Tableauの利用料についてはこちら

https://www.tableau.com/ja-jp/pricing/teams-orgs#online

Amazon Quick Sight

<特長>

  • AWS上で利用できるBIツールで、機械学習による予測や自然言語ナラティブの自動生成が可能
  • インメモリ計算エンジンであるSPICEを使用すれば、大規模な超高速パフォーマンスを実現可能

<ライセンス体系>

エディション 月額利用料(年間契約) SPICE 容量
作成者 閲覧者 (1GB/月)
Standard $9.00 ¥990 $0.25(¥28)
Enterprise $18.00 ¥1,980 $5.00($0.3) ¥550(¥33) $0.38(¥42)

*1$=¥110として換算

  • ユーザ単位の料金設定がベース
  • 閲覧者については月額最大利用料。()内は1セッション当たりの利用料
    ※1セッション=ログインから30分間
    ※16セッション/月 以下の利用であれば1セッション当たりの利用料、17セッション/月 以上の場合は一律$5となる(最大$5/月)
  • SPICEストレージ:作成者1ユーザーあたり10GB/月まで無料。上記は10GB以上から費用発生
  • 年間契約と月次契約がある。上記は年間契約時の料金。月次契約は少し料金が上がる
    (詳細は以下リンク先を参照)

Amazon Quick Sightの利用料についてはこちら

https://aws.amazon.com/jp/quicksight/pricing/

3.同じ利用条件下での価格比較

次は、同じ利用条件(できる限り)で利用したらそれぞれいくらになるか、利用ユーザ数の規模別に小規模、中規模、大規模の3パターンに分けて価格比較をしてみました。

<利用条件>

  • 新規導入~1年間利用した場合の価格比較とする。(年間サブスクリプション)
  • 利用時間はBI製品なので、平日の業務時間内の利用を想定し、1ヶ月の利用時間は200時間とする
    200時間 = 1日10時間(業務時間8時間+前後1時間)*20日間
  • データソースは外部データベースとする。ただし、外部データベースに接続するためのネットワーク、セキュリティ費用は、条件が複雑になるので今回は除外
  • その他オプションに係る費用は除外する
  • 1$=¥110として換算

小規模の場合(スモールスタート)

ユーザ数:作成者:2 閲覧者:10

 BIツール(SaaS型) 年額 内訳
MotionBoard Cloud ¥604,000

Professionalエディション
(作成者[¥6,000/月*2人]+閲覧者[¥3,000/月*10人])*12カ月+初期導入費¥100,000

Oracle Analytics Cloud ¥837,038

Enterpriseエディション
(1OCPU1インスタンス[¥236.57*200h]+ストレージ6TB[¥22,440])*12カ月

Power BI ¥158,242

Power BI Proエディション
利用者[¥1,099/月*12人]*12カ月

Tableau Online ¥762,000

Creater[¥102,000/年*1人]+Exploler[¥60,000/年*11人]
閲覧者はExplolerとする。(Viewerは最低契約数100人の為)

Amazon Quick Sight ¥113,520

Enterpriseエディション
(作成者[¥1,980/月*2人]+閲覧者[¥550/月*10人])*12カ月
閲覧者は月16セッション以上の利用を想定

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中規模の場合

ユーザ数:作成者:20 閲覧者:100

 BIツール(SaaS型) 年額 内訳
MotionBoard Cloud ¥5,140,000

Professionalエディション
(作成者[¥6,000/月*20人]+閲覧者[¥3,000/月*100人])*12カ月+初期導入費100,000

Oracle Analytics Cloud ¥1,404,797

Enterpriseエディション
(2OCPU1インスタンス[¥473.13*200h]+ストレージ6TB[¥22,440])*12カ月

Power BI ¥1,582,416

Power BI Proエディション
ユーザ[¥1,099/月*120人]*12カ月

Tableau Online ¥3,820,000

Creater[¥102,000/年*10人]+Exploler[¥60,000/年*10人]+Viewer[¥22,000/年*100人]

Amazon Quick Sight ¥1,135,200

Enterpriseエディション
(作成者[¥1,980/月*20人]+閲覧者[¥550/月*100人])*12カ月
閲覧者は月16セッション以上の利用を想定

bihikaku_02.png

大規模の場合

ユーザ数:作成者:100 閲覧者:1000

 BIツール(SaaS型) 年額 内訳
MotionBoard Cloud ¥43,300,000

Professionalエディション
(作成者[¥6,000/月*100人]+閲覧者[¥3,000/月*1000人])*12カ月+初期導入費¥100,000

Oracle Analytics Cloud ¥2,540,314

Enterpriseエディション
(4OCPU1インスタンス[¥946.26*200h]+ストレージ6TB[¥22,440])*12カ月

Power BI ¥6,593,400

Power BI Premiumエディション
¥549,450/月*12カ月

Tableau Online ¥29,260,000

Creater[¥102,000/年*30人]+Exploler[¥60,000/年*70人]+Viewer[¥22,000/年*1000人]

Amazon Quick Sight ¥8,976,000

Enterpriseエディション
(作成者[¥1,980/月*100人]+閲覧者[¥550/月*1000人])*12カ月
閲覧者は月16セッション以上の利用を想定

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補足

  • MotionBoard Cloudは外部データベース接続が条件のため、Professionalエディションを採用
    (CSV等の外部ファイルから連携するのであればStandardエディションでOK)
  • Oracle Analytics Cloudについては、今回、閲覧のみのユーザ想定の為、
    ダッシュボード機能が実現できるEnterpriseエディションを採用(セルフBI想定であればStandardでOK)

4.まとめ

Microsoft Power BI、Amazon Quick Sightは総合的に低い価格設定となっています。Oracle Analytics Cloudは、ユーザ利用が多くなるほど価格メリットが出てきます。ただ、利用時間を長くしたり、OCI,インスタンスをスケールアップする場合、結構価格が変わってくる為、他ツールより利用条件によるブレ幅は大きいと思います。

MotionBoard Cloudは今回、唯一国内メーカーのBIツールですが、価格だけでみると不利に見えます。ただし、利用者目線の機能が充実していたり、メーカーサポートがかなり良いので小規模で初めてBIツールを導入する方におすすめしたいツールの一つです。tableau Onlineについても分析機能が非常に充実しており、こちらも価格だけでは語れないものがあります。

最後に

いかがでしたでしょうか。クラウド型BIツールの価格体系はなかなか複雑かと思います。当然、価格だけでどのBIツールにするか決めるわけではないと思いますが、やはりどのBIを検討されているお客様はまず初めにだいたいいくらかかるかを知りたい方が多いです。今回の内容が少しでも参考になれたらいいなと思います。

今後は、価格に加え、機能の比較や、他のBIツールの価格比較をしていきたいと思います。また、BIツールはDWH(データウェアハウス)やDataLake(データレイク)との組み合わせで検討される方も多いと思いますので、その組わせで比較検証をしてみるのも面白そうですね。

最後となりますが、弊社は創業当初からBIやDWHソリューションを展開しており、長年培ってきた経験、知識、技術力をベースに、最新の技術を取り入れつつお客様にBI導入のご支援をさせていただいています。BIの導入や、課題解決でお困りの方は是非、弊社へご連絡下さい。

※本内容は2020年8月時点の内容です。

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