第8回:各データベースのサポート切れスケジュールについて
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今回は、各データベースのサポート切れスケジュールと関連事項をまとめました。
Oracle、SQL Server、MySQL、PostgreSQLの4つのデータベースについて、サポート期間とその特性をご紹介します。
1. データベースのサポート期間と種別
データベースのサポートには、リリースからの期間やベンダー側のアップデートの計画等に応じて、大きく分けると以下のような期間が存在しています。
- ① 不具合があった場合の修正パッチが作成され、ユーザからの問い合わせも受付可能
- ② 不具合があった場合の修正パッチは作成されないが、ユーザからの問い合わせは受付可能
- ③ 不具合があった場合の修正パッチ作成、ユーザからの問い合わせのいずれも不可
③の状態のバージョンを使い続けるのは極めて危険です。
その上で、システムの重要性に応じて、②の状態を許容するのか否かを判断する必要があります。
2. 各データベースのサポート期間・種別について
各データベースのサポート期間とその種別について以下に記載します。
Oracle Database
前提として、現在、Oracle Databaseには以下2つのバージョンタイプが存在しています。
- 革新(Innovation)リリース:新機能等を豊富に盛り込んでいるが、サポート期間が短いリリース。18c、21cがこれに該当
- 長期(Long Term)リリース:安定性が高くサポート期間が長いリリース。19cがこれに該当。
その上で、Oracle Databaseのサポートには3つのレベルが存在しています。
- Premier Support:サポートレベルとしては①の状態。全てのバージョンはリリース後、このレベルになります。革新リリースは2年間、長期リリースは5年間となります。
- Extended Support:サポートレベルとしては①の状態。通常よりサポート料金が割り増しされます。革新リリースはなし、長期リリースはPremier Support終了後3年間となります。
- Sustaining Support:サポートレベルとしては②の状態。革新リリースはPremier Support終了後、長期リリースはExtended Support終了後、無期限となります。
そのため、Oracle Databaseサポート期間は、導入時期により「最新バージョンより1つ前の長期リリースの方が長い」というケースがあることに注意が必要です。
2021年4月現在、各バージョンの①の状態のサポート期間は以下の通りです。
バージョン | Premier/Extended Support | Sustaining Support |
21c | 2023/6/30まで | 無期限 |
19c | 2027/4/30まで | 無期限 |
18c | 2021/6/8まで | 無期限 |
SQL Server
SQL Serverのサポートレベルには2つのレベルが存在しています。
- メインストリームサポート:サポートレベルとしては①の状態。リリース後、5年間程度となります。
- 延長サポート:サポートレベルとしては基本的に②の状態ですが、一部セキュリティパッチはリリースされる可能性があります。メインストリームサポート終了後5年間となります。
2021年4月現在、各バージョンのサポート期間は以下の通りです。
バージョン | メインストリームサポート | 延長サポート |
SQL Server 2019 | 2025/1/7まで | 2030/1/18まで |
SQL Server 2017 | 2022/10/11まで | 2027/10/12まで |
SQL Server 2016 SP2 | 2021/7/13まで | 2026/7/14まで |
MySQL
MySQLはOracle社製品であるため、Premier Support、Extended Support、Sustaining Supportの考え方はOracle Databaseと同じです。
Premier Support、Extended Supportが①の状態、Sustaining Supportは②の状態となります。
2021年4月現在、各バージョンの①の状態のサポート期間は以下の通りです。
バージョン | Premier/Extended Support | Sustaining Support |
MySQL 8.0 | 2026/4 まで | 無期限 |
MySQL 5.7 | 2023/10 まで | 無期限 |
PostgreSQL
PostgreSQLはOSS(オープンソースソフトウェア)製品ですが、コミュニティとしてのサポート期間は以下の通り提示されています。
第三者保守については、各第三者保守機関に依存する形になります。
2021年4月現在、各バージョンの①の状態のサポート期間は以下の通りです。
バージョン | サポート期間 |
PostgreSQL 13 | 2025/11/13まで |
PostgreSQL 12 | 2024/11/14まで |
PostgreSQL 11 | 2023/11/9まで |
PostgreSQL 10 | 2022/11/10まで |
PostgreSQL 9.6 | 2021/11/11まで |
3.おわりに
各データベースには、それぞれサポート期間の考え方、タイプがあります。
特にOracle Databaseは、サポート期間という観点からすると、最新バージョンを採用することが必ずしも良いとは言えない点に注意が必要です。
システムの使用期間、期間中のデータベースバージョンアップの可否等を考慮したバージョン選択が必要になります。