「第4次産業革命」や「DX(デジタルトランスフォーメーション)」が加速する中でのオフショア開発の活用方法とは

オフショア開発を成功させる秘訣

「第4次産業革命」や「DX(デジタルトランスフォーメーション)」が加速する中、注目のオフショア開発。
今回は、自らも発注側としてオフショア開発を行う当社ならではの経験を含め、概要や事例をご紹介します。

1. オフショア開発の基礎知識

オフショア開発とは何か?
そして、なぜいま注目を集めているのか?
詳しくご説明します!

1-1 オフショア開発とは?

「オフショア」は、英語で書くと“offshore”、「海外」を意味する単語で、”off”(離れた)と”shore”(岸)が組み合わさってできました。

そこから派生して、「オフショア開発」とはシステム開発業務等を海外の会社に委託・発注することを指します。
アメリカ企業が、より安い開発コストを求めてインドに進出したのが始まりと言われています。
プログラミング言語は世界共通言語であり、基本的にはパソコンとネットワークさえあればどこでもできることを利用した手法です。

1-2 ニアショア開発との違いは?

「ニアショア開発」とは、システム開発業務等を国内の地方の人や会社に委託・発注することです。
オフショア開発と比べると人件費の削減効果は大きくありませんが、時差や言語の違いによる問題が発生しにくいメリットがあります。

リモートコミュニケーションに慣れていない場合は、オフショア開発を始める前に、まずはニアショア開発で「遠くにいる人と仕事をする」という経験を積むのもおすすめです。

1-3 オフショア開発のメリット

オフショア開発の一番のメリットは、コスト削減です。
例えば、ベトナムでは日本の1/3程度のコストでプログラマーが採用できます。
システム開発費の多くは開発者の人件費であるため、人件費が安くなると、その分、システム開発費用も安くなります。
ミャンマーなどは、ベトナムよりもさらに低い単価で依頼することが可能です。

自社で設計したものを開発・テストする場合と比べ、オフショア先への仕様説明やオフショア先で開発・テストされたものを受入検証するという工程は必要になるため、単価の削減分がすべてコスト削減につながるわけではありません。
しかし、日本国内でのシステム開発と比べ、約20~40%のコストを削減することができます。

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他にも、IT人材不足を補うことができるといったメリットや、社内のグローバル化が促進される、外部委託に向け設計書を整備するきっかけが生まれる等の副次的効果があります。

また、コロナ禍においてリモートワークが増えた方も多いと思いますが、以前からオフショア開発を活用していた方からは、「オフショア開発のためにリモート開発体制を整えていたので、スムーズにリモートワークに移行できた」と言った声がよく聞かれます。
自社だけではなく、複数の会社・場所で開発する体制を作ることは、様々なリスクへの備えとしても有効なようです。

1-4 なぜいまオフショア開発が注目されているのか

昨今、「第4次産業革命」や「DX(デジタルトランスフォーメーション)」が加速する中、IT人材の不足も課題となっています。
需要の伸びを「高位」として試算した場合、日本のIT人材不足は2030年には約79万人まで拡大すると予測されており、日本はアジア各国と比較してIT分野を学ぶ学生も少ないです

ヒューマンリソシア株式会社 グローバルレポート 第11回:世界各国のIT分野の卒業者数は?~アジア・オセアニア編~

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出典:みずほ情報総研株式会社「IT人材需給に関する調査報告書」

つまり、国内でIT人材を確保するのはだんだん難しくなるという背景があり、それを補う手段としてオフショア開発が注目されています。

人手を補う手段としてだけではなく、DXに向けた新技術検証を安く、すばやく行う手段としてもオフショア開発が選ばれています。
オフショア開発では、開発やテストの工程を対応することが多いですが、実は調査・分析工程も相性が良い工程です。
そのため、「検証段階ではあまり大きな金額をかけられないので、安く気軽に技術検証をしたい」「英語が不得意で新技術の情報が思うように集められない」といった課題にもマッチします。

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そして、コロナ禍においてリモートワークやオンラインコミュニケーションが増えたことで、よりオフショア開発への注目度が高まっています。

オフショア開発を最近始めたある方は、「開発メンバーは基本的にリモートワークになったので、追加の開発者を集めるときにも通勤距離を気にしなくなった。メンバーの中では地方移住や“ワーケーション”も話題になっている。そのような環境のため、もはやメンバーを国内の人員に限る必要がないと感じて、オフショア開発を始めてみることにした」と話していました。

また、最近では、多様性やダイバーシティの推進も求められています。
その一環として外国人の雇用を進める企業も多いと思いますが、手続きや文化の壁があることも事実です。
チームに外国人を迎え入れる準備のため、まずはオフショア開発で少しずつ外国人と接する機会を増やしていくのも一案かもしれません。

1-5 オフショア開発を委託できる国は?

日本からオフショア開発を委託できる会社は、中国、ベトナム、インド、フィリピン、ミャンマー等に多いです。

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かつては、オフショア開発=中国での開発というイメージがありましたが、2010年前後からは日本企業を主なターゲットとするベトナムのオフショア開発企業が急激に増えています。
中国の経済発展に伴う人件費の上昇や、いわゆる「チャイナリスク」を懸念して、中国オフショアからベトナムオフショアへの変更や二重化をするケースも少なくありません。

また、最近ではベトナムも人件費が上昇しつつあるため、さらに人件費の低いミャンマーやバングラデシュといった国がオフショア開発において「ポスト・ベトナム」と言われています。

では、どの国でオフショア開発をするのが良いのでしょうか。
中国は、やはり圧倒的な人数、時差の少なさ、同じ漢字圏であること等が代えがたい魅力でしょう。
ベトナムは、平均年齢が30~31歳と若く、国が力を入れてIT人材を育成している点が期待できます。
また、VINASA(ベトナムソフトウエア協会)は、毎年、日本企業向けのイベントを開催するなど、ベトナム側も日本の方を向いているということもポイントです。

各国の特長については、以下の記事もぜひご覧ください。
・オフショア開発国の選び方
・オフショア開発におけるベトナムの3つの魅力

2. オフショア開発の事例

さて、具体的にオフショア開発に向いている案件とはどのような案件でしょうか。
システムエグゼでは、製品・サービス開発、マイグレーション、基幹システム開発において、オフショア開発を活用することが多いです。

以下にそれぞれの事例をご紹介します。

2-1 製品・サービス開発

製品・サービス開発のような、アジャイル型で進めることの多いプロジェクトでは、オフショア開発の活用をおすすめします。
アジャイル型開発は、スコープがどんどん変わっていくため、ウォーターフォール型開発よりもコストが高くなります。
しかし、限られた予算内でより良い製品・サービスの開発を求められる場合もあるでしょう。
理想とのギャップを埋める手立ての1つとして、コストを抑えられるオフショア開発の活用を検討してみてはいかがでしょうか。

また、オフショア開発では、若く、新技術を試したい意欲のあるメンバーが参加することも多いため、現在のメンバーだけでは出てこなかったアイディアが得られるかもしれません。

2-2 マイグレーション

古い開発言語で作られたシステムを新しい開発言語で作り直すマイグレーションは、オフショア開発と相性が良いです。
こちらも、コスト面でのメリットが挙げられます。
新規のシステム開発に比べ、マイグレーションはなかなか会社の上層部に必要性が伝わりにくく、予算が限られることも多いのではないでしょうか。
そのような場合は、オフショア開発を活用し、コストを抑えることをおすすめします。

また、旧プログラムコードをもとに同じ動きをする新プログラムコードに書き替えるという作業が多いため、言葉の壁が少ない点でもオフショア開発と相性がよいです。
システムエグゼでも、VB6マイグレーションやFlexマイグレーションプロジェクトにおいては、オフショア開発を活用することが多いです。

システムのバージョンアップ対応とDXの推進を同時に求められているが、人員も限られており苦慮しているという方は、レガシーシステムの対応にはオフショア開発を活用し、自らはDXの実現に向け注力するというシフトチェンジをしてみるのも一案かもしれません。

<サービス紹介ページ>
・VB6マイグレーションサービス
・FlexからHTML5への移行サービス

2-3 基幹システム開発

基幹システム開発は規模が大きく、多数の開発者の参画が必要というケースも多いと思います。

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先にご紹介した通り、日本ではIT人材の不足が課題となっており、開発者を集めるのが年々厳しくなっていると実感している方も多いのではないでしょうか。
国内だけでは開発者の確保が難しい現在、オフショア開発の活用をおすすめします。

3.まとめ

システムエグゼのオフショア開発は、日本側社員が主体となり、日本語をベースとした「日本式のプロジェクト管理」により、安心感の高いサービスをご提供します。

また、当社ではオフショア開発以外も承りますので、「こういう案件があるが、オフショア開発できるのかわからない」という場合も、ぜひ一度ご相談ください。
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