スクラッチ開発は時代遅れ?スクラッチ開発の必要性

システム開発の基礎知識
企業がシステムを導入する際には必ず、「一からスクラッチで開発するか、パッケージシステムをノンカスタマイズまたはカスタマイズして導入するか、はたまたローコードツールを利用し開発するか」といった開発手法の検討が行われます。
パッケージシステムは業務に沿って標準的な機能が網羅されており、画面イメージ、操作感も事前に把握することが容易です。
また、比較的安価かつ短期間で導入することができ、類似製品も多くあるため、比較検討しやすいでしょう。
ローコード開発では、開発者がプログラミングやコードを書かなくてもツールの機能や画面操作のみでシステム開発を行うことができるため、開発工数を削減しスクラッチ開発よりはコストを抑えられる可能性があります。
こうして見ると、スクラッチでシステム開発することは時代遅れなのでしょうか?
実は、スクラッチ開発が適しているシステムもあります。
本記事では、スクラッチ開発の基礎知識と、パッケージシステム、ローコード開発との比較、スクラッチ開発が適しているケースがどのようなものを紹介します。
1. スクラッチ開発とは?メリット・デメリットについて
スクラッチ開発とは、「既存のシステムやパッケージを使わず、一からシステムを開発する方式」です。
スクラッチ開発はオーダーメイドで開発するため、開発の自由度が高く、企業独自の業務や特定の要件に最適化されたシステムを構築することができるメリットがあります。
一方で、開発期間やコストがかかるというデメリットもあります。
スクラッチ開発の主なメリット・デメリットは以下のとおりです。
メリット
カスタマイズ性が高い
既存のフレームワークやパッケージに依存せず、一から開発するため、自社の業務フローや企業のビジネスニーズに最適化されたシステムを構築できます。
パフォーマンスの最適化
不要な機能を排除し、特定の業務に特化した設計ができるため、無駄な処理がなく、効率的なシステムを実現できます。
拡張性と柔軟性
将来的にユーザーや事業の拡大・変更が発生した場合でも機能追加や変更が行いやすく、企業の成長や技術の進化に合わせて柔軟に対応できます。
デメリット
開発期間とコストがかかる
オーダーメイドで開発するため、要件定義、設計、開発、テストに時間とコストがかかり、開発期間中に世の中の環境や業務が変化してしまうリスクがあります。
保守・運用の負担が増える
スクラッチ開発のシステムは、不具合の修正やミドルウェアのバージョンアップなど、継続的なメンテナンスを自社か外部ベンダーへ依頼する必要があり、業務負担やコストが多くなる可能性があります。
ベンダー選定が難しい
スクラッチ開発では最終的な成果物やクオリティ・コストを選定時に把握するのが難しい上、開発ベンダーや担当者によりさまざまなためベンダーの選定が難しくなります。
誤った選択をすると開発期間が延びてしまい、当初の見積金額から大きく増加する可能性もあります。
スクラッチ開発には上記のようにメリット・デメリットが存在しますが、パッケージシステムを導入してカスタマイズした場合との比較を次にご紹介します。
2. スクラッチ開発とパッケージ+カスタマイズの比較
システム導入を行う際、一般的にはスクラッチ開発とパッケージ+カスタマイズを比較するケースが多くあります。
両者を比較するにあたって、まずはパッケージ+カスタマイズのメリット・デメリットを見ていきましょう。
メリット
- 短期間での開発が可能で、比較的低コストで導入が可能
- 安定した運用ができる
- 導入がスムーズ
デメリット
- 開発の自由度が低い
- 業務フローをシステムに合わせ変更する必要がある
- 自社では使用しない不要な機能もある
パッケージ+カスタマイズの大きなメリットは機能が標準で充実しているため、コストが大幅に抑えられることです。
また、自社で保守管理や運用を行う必要がなく、脆弱性への対応や不具合が起きた際などの対応・予防策もパッケージシステムのベンダーが行うため、安定した運用が可能です。
しかし、パッケージ+カスタマイズは既存のシステムを利用するため、カスタマイズの制限があり、柔軟性が損なわれるデメリットがあります。
将来的な事業拡張や変更が発生した場合の選択肢も少なく、業務フローをシステムに合わせる必要もあります。
企業によっては不要な機能も用意されているため、利便性が下がってしまう場合や、独自のカスタマイズを行うことで保守性が損なわれることもあります。
スクラッチ開発とパッケージ+カスタマイズ、それぞれメリット・デメリットがありますが。
自社に合っているのはどちらの開発手法なのか見極めるために、次章ではスクラッチ開発に適したシステムを紹介します。
3. スクラッチ開発に適したシステム
一般的にスクラッチ開発が選択されるシステムや、スクラッチ開発が適しているケースはどのような場合でしょうか。
企業独自の業務や、他社と差別化を図りたいシステムには、スクラッチ開発が向いているといわれています。
一方で、業務内容が定型的で、企業によって大きな差がないものは、機能も豊富で定型業務に向いているパッケージシステムのほうが適していると考えます。
スクラッチ開発が向いている条件
- パッケージシステムでは対応できない業界特有の複雑な業務フローや、標準化されたシステムでは対応が難しい要件がある
- 事業の拡大や市場の変化に応じて、継続的な機能追加や仕様変更が必要で、柔軟に機能を拡張したい
- 他システムとの柔軟なデータ連携が必要な
- 他社との差別化を図るために、自社独自の業務プロセスを重視し、特定の業務プロセスにシステムを対応させたい
- 長期的な投資として高い品質のシステムを構築したい
スクラッチ開発の成功のポイント
スクラッチ開発を選択する場合、要件定義・基本設計の上流工程をうまく進めることができるかが成功のための重要なポイントになります。
上流工程の品質がプロジェクト全体の進行やシステムの品質・クオリティに影響するため、非常に責任が重く、重要な役割を担っています。
そのため、スクラッチ開発を検討する場合は、実績が豊富で信頼できる開発ベンダーを選定することが重要です。
4. まとめ
パッケージシステムの普及やノーコード開発の進展により、スクラッチ開発は時代遅れといわれることがありますが、スクラッチ開発でしか実現できないシステムはまだまだ存在します。
このため、スクラッチ開発は今後も開発手法の選択肢のひとつとして必要であり続けるでしょう。
スクラッチ開発はコストや期間、プロジェクトの成功率など、パッケージ+カスタマイズと比較した際のリスクもありますが、独自業務への適合性や将来的な拡張性・柔軟性など、スクラッチ開発ならではのメリットがあります。
システムエグゼでは、創業当初よりスクラッチ開発に力を入れており、基幹システムなどの大規模システムをスクラッチ開発で成功させてきた実績が豊富にあります。
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