Power BIライセンスの種類を本当に理解している?利用用途に合わせた最適なライセンスの選び方

BI技術者の雑記

Microsoft Power BI(以下、Power BI)のライセンスは全部で5種類存在します。
無料ライセンスが1つ、有料ライセンスが4つです。

今回は5種類のライセンスについて比較しつつ、それぞれの利用ケースを紹介します。

1.はじめに

Power BIのライセンスには以下の5つのライセンスがあります。
無料ライセンス:Power BI Free
有料ライセンス:①Power BI Pro ②Power BI Premium Per User ③Power BI Premium Per Capacity ④Power BI Embedded

それぞれ、価格、機能面で異なる特性があり、ケースに合わせて使い分けることで最大のコストパフォーマンスを発揮できます。
今回は各ライセンスについて紹介します。

2.Power BIのライセンスの種類、価格

まず、Power BIのライセンスの種類と概要について紹介します。

Power BI Free

Office365/Microsoft365どちらでも、無料かつユーザー数無制限で利用できるサービスです。
個人利用がメインとなるので、作成したレポート・ダッシュボードを他者に共有する機能はありません。

Power BI Pro(Pro)

月額制の有料ライセンスで、1ユーザーごとに1ライセンスが必要です。
Office365/Microsoft365 E3以下のプランには含まれないため、ユーザー数に対して契約が必要です(E5プランは含まれるため契約は不要です)。
Proライセンスユーザー同士であればコンテンツの共有が可能です。

Power BI Premium Per User(PPU)

月額制の有料ライセンスで、1ユーザーごとに1ライセンスが必要です。
使用可能なデータモデルサイズやストレージ容量が、Proライセンスより大幅に増加します。
さらにページ分割されたレポート等、さまざまな機能を使用することが可能です。
Premium Per User の容量に保存されたコンテンツは、Premium Per User のユーザーしかアクセスできません。

Power BI Premium Per Capacity

ProまたはPremium Per User に追加可能な容量ベースのプランとなり、テナントの容量に基づくライセンスです。
FreeやProはAzure上の共有リソースが割り当てられますが、Premium Per Capacityでは組織専用の拡張リソースを使用します。
またPremium Per Capacityに保存されたコンテンツは、Freeのユーザーでもアクセスすることが可能です。

Power BI Embedded

アプリケーションの開発者向けに用意されたプランで、利用時間に応じて従量課金されます。
Embedded には、顧客向け埋め込みと組織向け埋め込みという2種類の埋め込みがあります。
顧客向け埋め込みは、事前にサービスプリンシパル、またはマスターアカウントの認証をアプリケーションで設定しておくことで、組織外のユーザーでもコンテンツを閲覧することが可能です。
組織向け埋め込みは、アプリケーション側のユーザー認証により、適切なライセンスを持つ組織内のユーザーはアプリケーションから直接、Power BI サービス上のレポートにアクセスすることができます。

参照:“Power BI ライセンスの違い(Free・Pro・Premium Per User・Premium Per Capacity・Embedded・Fabric)”. Japan CSS Support Power BI Blog.2021-07-30.https://jpbap-sqlbi.github.io/blog/powerbi/pbi_license/,(参照2023-12-27)

価格について

# ライセンス名 価格
1 Free 無料 (ユーザー数無制限)
2 Pro ¥1,250/月額・ユーザー
3 Premium Per User(PPU) ¥2,500/月額・ユーザー
4 Premium Per Capacity ¥624,380~/月額・容量
5 Embedded ¥133.6~/時間・容量

※上記は2024年1月時点の価格です。最新の価格は以下URLをご確認ください

参照:Microsoft|Power BI|Power BI の料金

3.Power BIのライセンスの比較

Power BIのライセンスごとの比較を一覧で説明します。

  比較内容 Free Pro Premium Per User Premium Per Capacity Embedded
1 用途 個人利用 複数人共同作業 高度な機能利用、複数人共同作業 大規模組織専用 アプリケーション開発者用
2 レポート・データセット作成、発行 ※1 ×※2 ×※2
3 コンテンツ共有と共同作業 × × ※2 × ※2
4 無料ユーザーのコンテンツ閲覧 × × × ×
5 ストレージ上限 ※5
① マイワークスペース
② 共有ワークスペース
③ Premiumワークスペース
① 10GB/ ユーザー
② ×
③ ×
① 10GB/ ユーザー
② 10GB/ ワークスペース
③ ×
① 10GB/ ユーザー
② 10GB/ ワークスペース
③ 100TB/テナント
① 10GB/ ユーザー
② 10GB/ ワークスペース
③ 100TB/ 容量
① 10GB/ ユーザー
② 10GB/ ワークスペース
③ 100TB/ 容量
6 データセットサイズ制限 1GB 1GB 100GB ※4 25GB~400GB ※4 3GB~400GB ※4
7 自動更新 8回/日 8回/日 48回/日 48回/日 48回/日
8 ページ分割レポート
9 データフロー × ※3
10 デプロイパイプライン × ×
11 高度なAI ※6 × × ※7
12 XMLAエンドポイント利用 × ×
13 自動スケーリングのアドオン × × × ※8 ×
14 Multi-Geo(複数地域・リージョン利用) × × ×

※1:マイワークスペース内のみ
※2:別途ユーザーライセンスが必要(Pro以上)
※3:Premiumデータフロー機能は利用できない
※4:Power BI Desktopから発行する際のアップロード時のサイズ上限が10GBまで
※5:共有ワークスペースの総容量はライセンス数による上限があります
※6:言語処理、画像処理、自動化機械学習
※7:Embedded容量のA2以降でサポートされます
※8:¥9,521/仮想コア/24 時間単位

4.利用シーンに応じたライセンス選定例

さまざまな利用シーンに応じたライセンス選定例を紹介します。

個人で利用

・FreeまたはPro
個人でデータ可視化や分析を行う目的で利用するにあたり、おおよそFreeで網羅できるが、高度な技術が必要な場合のみProを導入。

組織内で利用

・Pro
Proを導入し、レポートの作成をする。
Pro同士でレポートの共有、閲覧をする。

・Premium、Pro、Free
開発者やレポート管理者がProを導入しレポートをPremium容量に配置。
利用者はFreeで閲覧用ダッシュボードを使用。

大規模データセットや高度な分析

・Premium、Pro
大規模データセットや高度な分析を利用するシステムでは容量の多いPremiumを導入し、利用するユーザーはPro。

外部ユーザーへ共有

・Embedded、Pro
外部ユーザーへ共有するときにEmbeddedを使用し、提供する側はProを利用。

5.おわりに

Power BIの各ライセンスの概要や比較結果、ライセンス選定例について紹介しました。
個人の場合はFreeを利用し、組織の場合はProまたはPremiumを利用して閲覧者はFree、外部ユーザー共有の場合はEmbedded、Proを利用することをお勧めします。
Premium、Embeddedは容量から契約できるライセンスのため、Proを使っていくうちに容量不足になった時に使用すると良いでしょう。

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