CCH Tagetikの次元について

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BI技術者の雑記

CCH Tagetikの基礎の1つである次元の概要を解説します。
次元は業務システムに置き換えるとマスタデータに相当するものです。
本記事では、とくに「ファイナンシャル・ワークスペース」で使用されるシステム次元について紹介します。

1.次元の概要

次元にはシステム次元とカスタム次元とアナリティカル次元があります。

CCH Tagetikは会計的な標準機能を備えた「ファイナンシャル・ワークスペース」と各社各部署のデータや大量の明細を扱えるDWHのような仕組みの「アナリティカル・ワークスペース」の2層構造になっています。

  • ファイナンシャル・ワークスペース
    使用できる次元:システム次元、カスタム次元
  • アナリティカル・ワークスペース
    使用できる次元:システム次元、カスタム次元、アナリティカル次元

今回は、「ファイナンシャル・ワークスペース」で使用されるシステム次元について紹介します。

2.次元の役割

システム次元として定義されているものには下記の次元があります。
システム次元はCCH Tagetikを使用する上で必須の次元です。

  • ピリオド・・・時間の基本単位を定義します。(通常は12か月)
  • シナリオ・・・シナリオと年度を表します。(例:Actual2023、Budget2024)
  • カテゴリ・・・データの分類を表します。(例:配賦用のカテゴリ、ETLデータ用のカテゴリ)
  • 通貨・・・取引、財務諸表、連結プロセスの通貨を管理します。(例:円、千円、ドル、ユーロ)
  • 組織・・・ビジネスユニットを表します。(例:事業部等)
  • 科目・・・分析の対象となるメジャーまたはメトリックを表します。(例:売上、費用)

3.次元の機能の説明

要素登録

次元の要素(エレメント/リスト)の作成画面です。
左上に次元作成までの導線が表示されます。
プラスマークが要素の新規作成ボタンです。
右側の項目に任意の値を入れて保存ボタンを押します。
赤い※マークのついた項目は必須入力の項目です。

Excelで次元データの一括登録も可能です。
オレンジの網掛けがされている列が必須入力の項目です。

赤枠の部分が一括入力機能のボタンです。

ここまでの操作で各次元の要素を登録していきます。
シナリオ次元では、ピリオド次元の要素との紐づけが必要です。

階層定義

階層を定義することで、要素をノードという単位で集計できます。
末端は必ず要素になり、階層のトップから中間はノードになります。
階層は複数作成可能ですが、同一階層に同じエレメントを複数使用することはできません。
階層が使える次元は、組織次元、科目次元、カスタム次元、アナリスティック次元のほぼすべての次元で使用可能です。

組織とカスタム次元では、シナリオとピリオドの組み合わせによって、同一ノードの下で要素を変更することができます。
下記は同一ノード内で4月と5月では異なる要素が使われることが確認できます。

グループ定義

グループは、ノードを分ければ同一グループ内で同一の要素を使用できます。
グループはカテゴリとシナリオ次元で使用可能です。

FST定義

科目次元ではFSTという科目同士の計算式を設定できます。
例えば、親アイテムの集計値を2で割算するような計算式を定義できます。

計算式は実際にマトリクスで確認すると分かりやすいため、入力例を表示します。
緑は入力可能なセルです。

増減/詳細タイプとコントロールグループ定義

増減/詳細タイプとコントロールグループは科目次元と組み合わせて使います。
下記は現金科目の増減のコントロールグループの例です。
親科目が翌月の期首科目にコピーされるなど、残高の計算でよくある会計処理をサポートします。

科目次元のコントロールグループのノードと増減/詳細タイプの要素を組みわせたフォームを作ることで、増減/詳細科目の要素にデータ入力できます。
例えばInitial BalanceとFX rate differenceとGeneric Movementという3つの要素で増減/詳細タイプを作ります。
さらに増減/詳細タイプをコントロールグループでノーマル科目と増減/詳細科目にマッピングすることで、同一ノードと増減/詳細タイプで増減/詳細科目にデータが入力できます。

下記が増減科目の入力例です。
上の表が科目次元のコントロールグループのノードと増減/詳細タイプの要素を組みわせた表です。
下の表が詳細科目次元の要素の表になり、データがリンクしていることが分かります。

コントロールグループのリストの設定で「計算ロジック」をチェックすると、純損益科目や増減/詳細科目などの計算で使用する「計算ロジック」が自動作成されます。

4.おわりに

今回は「ファイナンシャル・ワークスペース」で使う次元について説明しました。
CCH Tagetikは他にも配賦処理や連結管理、キャッシュフロー計画などの高度な会計機能が備わっています。
予算管理や管理連結のシステム導入で「CCH Tagetik」をご検討される際には、経験豊富なエンジニアがいるシステムエグゼにお問い合わせください。

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