第31回:Standard Edition High Availability(SEHA)の特徴とRACとの違い

技術者向け・データベースの技術情報発信

すでにご存知の方も多いと思いますが、Oracle Database 19cからStandard Edition 2(SE2)でRACの使用がサポートされなくなり、代替の高可用性ソリューションとしてStandard Edition High Availability(SEHA)がリリースされました。

今回は、SEHAの特徴とRACとの違いについてご紹介します。

1.Standard Edition High Availability(SEHA)とは

Standard Edition High Availability(SEHA)は、Oracle Database 19c Release Update(RU) 19.7およびOracle Grid Infrastructure 19c Release Update 19.7から使用可能となった機能です。

Oracle Clusterwareを使用して、シングルインスタンスのOracle Database Standard Edition 2向けのクラスタベースのフェイルオーバを提供しています。

SEHAは、Oracle Cluseterware、Oracle ASM、Oracle ACFSなど、Oracle Grid Infrastructureの一部となっている高可用性機能やストレージソリューションを活用するなど、オラクル社の製品で構成されています。

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2.Standard Edition High Availability(SEHA)の特徴

SEHAの特徴として、以下のようなものが挙げられます。

  • Active-Standby形式のHAソリューション
  • Oracle Database 19.7およびOracle Grid infrastructure 19.7以降のバージョンで使用可能
  • Linux、Solaris、Windowsに対応
  • 10日間ルール(待機系は年間10日間までの稼働であればライセンス不要)が適用
  • データは、共有ディスク上に構成したOracle ASMもしくはOracle ACFSに配置
  • 共有ディスクのリマウントを行わないため、フェイルオーバ時間が迅速
  • 現時点ではクラウド環境に非対応

3.Oracle Real Application Clusters(RAC)との違い

SEHAは、Oracle 19cからSE2でRACが使用できなくなることに対する代替の高可用性ソリューションと述べましたが、両者の違いは以下の通りです。

SEHA RAC
製品 Standard Edition 2 Enterprise Edition
構成 Active-Standby Active-Active
フェイルオーバ
再配置
ローリングアップデート ×

RACは、Active-Active構成で高可用性がより高く、また、ノード追加による拡張向上という点が優れています。

SEHAは、Active-Standby構成ということでフェイルオーバ時に一時的な空白時間が生じるなどがありますが、SE2ライセンスで動作するところが魅力です。

オラクル社のSEHA、Oracle Restart、Oracle RACおよびOracle RAC One Nodeの比較資料も参考にして下さい。
オラクル社ヘルプセンター「Clusterware Administration and Deployment Guide」
1 Introduction to Oracle Clusterware - High Availability Options for Oracle Database

4.おわりに

今後のシステム更改の際に、稼働中のSE RACをどのような構成に移行するか、コストや環境等を含め、様々な観点から検討する必要に迫られると思います。

今回は、SE RACの代替高可用性ソリューションであるOracle Standard Edition High Availavilityについて簡単にご紹介しました。

当社の技術共有が、少しでも作業の手助けになれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。