第19回:Oracle Preinstallation RPMって何?

技術者向け・データベースの技術情報発信
こんにちは。DBコンサルティング部の望月です。
日々の業務では、主にOraceデータベースの構築作業を生業としていますが、最近はクラウド環境でのDB構築案件が増えてきました。
しかしながら、多様な要件もあるため、オンプレミス環境のデータベース構築は無くなりません。
クラウド環境、オンプレミス環境どちらの環境でもデータベースの構築は行いますが、クラウド環境の構築に慣れてしまうと大変だなぁと思うのは、オンプレミス環境での数々のパラメータ設定作業でしょうか。
本日はそんなパラメータ設定についてお話しします。
目次
1.設定しなければならない項目は多数!
設定項目には、OS種別、データベースの利用用途、ハードスペック、その他の条件ごとにたくさんの項目を設定しなければなりません。
ここではLinuxにOraceデータベースを構築することを想定して考えてみましょう。設定する項目は何?
- OSのユーザーとグループを作成する
- カーネルパラメーターを設定する
- LinuxのRPMパッケージをインストールする
- 環境変数を設定する
通常は、上記のような設定項目をマニュアルを参照しながら設定するところですがOracle Preinstallation RPM(RPMパッケージ)を使うことで設定作業を簡素化できます。
次に、インストール作業についてみていきましょう。
2.対応OSとインストール作業
対応OSは、Oracleが12cであればOracle Linuxになります。 様々なOSに対応していればうれしいのですが、対応OSはOracle Linuxのみです。
なお、18cのマニュアルを参照すると、インストレーションガイドの中にRed Hat Enterprise Linux対応の記載がありました。今後その他のOSでも利用できるようになると嬉しいですね。
インストールについてみてみましょう。インストール方法はネットワーク環境によって違いがあります。
インターネットに接続可能なサーバーの場合
以下のコマンドを実行することでインストールできます。
[root@DBserv~]# yum install oracle-rdbms-server-12cR1-preinstall※12cR1は一例です。各バージョンに沿ったものを指定してください。
インターネットに接続不可なサーバーの場合
Oracle Linuxのインストール時にオプションを選択することでインストールできます。詳しくはOracleのインストレーションガイド(『12cリリース1 (12.1) for Linux』)を参照してみてください。
・Oracle Preinstallation RPMによるOracle Linuxの自動構成
https://docs.oracle.com/cd/E57425_01/121/LADBI/olinrpm.htm
3.変更されたパラメータ
当初、ツールで設定できるのはOracleの構成に必要なRPMパッケージのみと思っていましたが、どうやらそれ以外の項目も設定されているようです。
では、実際にどのようなパラメータが自動で設定されるのでしょうか。
- カーネルパラメータ(/etc/sysctl.conf)
- リソース制限(/etc/security/limits.conf)
- OSのユーザとグループの追加(oracleユーザとdba/oinstallグループ)
インストール前のパラメータ設定作業は概ね完了でしょうか。
4.まとめ
早足で概要だけを説明しましたが、個別にパラメータの設定を行うより遥かにお手軽というところだけは理解して頂けたでしょうか。
ここでひとつ注意です!
もしOracle RACを構築したい場合はこれだけの手順では不足です。
Oracle Grid Infrastructure用のグループやユーザーを必要に応じで作成する必要があります。機会があればこちらもご紹介したいと思います。