初心者向け!アジャイル開発手法 スクラムを知って成功に近づこう

システム開発の基礎知識
近年ソフトウェア開発の世界で注目されているアジャイル開発ですが、その手法のひとつとして、スクラムがあります。
本記事ではアジャイル開発の手法であるスクラムの意味や向いている案件、具体的な進め方・体制、そして成功のためのポイントをわかりやすくご紹介します。
スクラムという言葉を初めて知った方や、スクラムをこれから始めたい方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
1.アジャイル開発手法 スクラムとは?意味や向いている案件を紹介
スクラムとは、アジャイル開発の手法のひとつです。
スクラムでは少人数のチームを組み、1か月程度の短い期間で開発サイクル(計画、設計、製造、テスト)を繰り返し行ってシステムを構築します。
スクラムに向いている案件として、以下3つの例が挙げられます。
スクラムに向いている案件
- システム利用者のフィードバックを得ながら機能の改善・拡張を行える案件
- プロジェクトの状況に応じて仕様を柔軟に変更できる案件
- 厳格な期限が決められていない案件
具体的な例を挙げると、こまめな更新が必要となる運用型のWebサイトやアプリケーションの開発などがあります。
開発するシステムの特性やスケジュールなどから、適切な開発手法を選択することが肝要です。
2.スクラムの流れを知ろう
では、スクラムとはどのような流れや体制で進んでいくのでしょうか?
スクラムは、主に4つの流れで進んでいきます。
スクラムの流れ
- スプリントプランニング
スクラムは、「スプリント」と呼ばれる開発期間を何度も繰り返すことで進めていきます。
そのスプリントを始めるにあたって、開発チーム内でどのタスクに対応するか、どのような作業に取り組むかを計画します。
ちなみに、スプリントの1回の長さは原則1か月以内とされています。
スプリントが1か月の場合、スプリントプランニングは最大8時間までとされ、スプリント期間が短くなればスプリントプランニングの時間も短くするケースが多いです。 - デイリースクラム
スプリント期間中、毎日15分ほどで開催される会議です。
開発チーム内で、スプリントゴールまでの進捗状況を確認し、状況に応じて課題の解決・改善を図ります。 - スプリントレビュー
スプリントの終了時に、作成した成果物の検査を行います。
事前に定義した内容が満たされているかの確認を行い、問題点があればどのような改善が必要となるかを検討します。
スプリントが1か月の場合、スプリントレビューは最大4時間とされています。 - スプリントレトロスペクティブ
スプリント完了時に、スプリント内でうまくいったこと、うまくいかなかったことを振り返ります。
うまくいかなかったことに対しては改善策を検討し、次のスプリントでどのように活かしていくかを議論します。
スプリントが1か月の場合、スプリントレトロスペクティブは最大3時間とされています。

スクラムの体制
スクラムは一般的に以下の3つの役割に分かれて取り組みます。
- プロダクトオーナー
開発チームから生み出されるプロダクト価値の最大化に責任を持つ役割です。
プロダクトに必要なものを一覧化し、管理・優先順位付けを行います。 - スクラムマスター
メンバーが成果を上げるために支援をするリーダーが、スクラムマスターです。
プロジェクトが円滑に進むよう、プロダクトオーナーのサポートや課題解決支援、スクラム導入・実践にあたっての指導などを行うことが役割です。
スクラム成功にあたって非常に重要な役割であると言えるでしょう。 - 開発チーム
成果物を実際に作成する実働部隊です。
開発チーム内で設計やドキュメント作成、コーディング、テスト、運用などを行っていくため、幅広い知識やスキルが必要とされます。
また、開発チーム内での肩書や役割はなく、チーム全体で進め方を計画し、成果物の作成に取り組みます。
3.スクラム 成功のための3つのポイント
スクラムには明確な手順や役割が設定されています。
その上でスクラムを成功させるためには、3つのポイントがあります。
スクラム成功のためのポイント
1. 透明性
スクラムにおいては、プロジェクトのすべての関係者間で情報を共有する必要があります。
共有する内容は作業内容や進捗・課題だけでなく、プロセスの用語の意味、何をもって完成とするかなど、あらゆる内容について共通理解を持つことが大切です。
透明性を担保するために、代表的な2つのドキュメントがあります。
【スクラムの代表的なドキュメント】
- プロダクトバックログ
スクラムで必要な機能や要求を一覧化し、優先順位付けをしたドキュメントです。
完成することのない動的なドキュメントであり、プロジェクトの状況に合わせ内容が絶えず変化していきます。 - スプリントバックログ
作成する機能をリストアップし、完成のための計画やタスクを明記したドキュメントです。
開発チームがゴールに到達するために必要な作業がすべて見える化されており、前回のスプリントレトロスペクティブで特定した優先順位の高い改善策を、少なくとも1つは含めておく必要があります。
2. 検査
スクラムでの作成物やゴールまでの進捗を頻繁に検査し、望ましくない変化や問題点を検知することも大切です。
2章でも説明したように、デイリースクラムや、スプリントレビューなど進捗確認・検査の機会が多く設けられています。
スプリント単位で振り返りを行い、評価・改善点を全員で抽出・共有することで、次スプリント以降の改善を図ります。
3. 適応
検査の結果、望ましくない変化や問題点が見つかった場合、なるべく早く軌道修正することが大切です。
具体的な取り組みとしては、下記のような例が挙げられます。
【適応の取り組み例】
- スプリントの途中でスプリントバックログの調整を行う
- デイリースクラム内でリアルタイムに課題を共有・調整する
- スプリントレビューで得られたフィードバックをその後のスプリントに活かす
当社でスクラムに取り組んでいるエンジニアも、3つのポイントの中でも「透明性」と「検査」については特に重要視しています。
「透明性」では、例えばお客様とのコミュニケーション(朝会、進捗会議)を密に実施したり、課題・調査事項の共有はツール(BacklogやTeamsなど)を活用して全メンバーで共有したりするようにしています。
また、「検査」については、スプリント単位で振り返り(評価・改善点の確認)をメンバー全員で行うことにより、次スプリント以降の改善を行っています。
4.まとめ
本記事を通してスクラムの基礎的な内容を知っていただくことで、スクラム成功への一助となれば幸いです。
システムエグゼでは、スプリントを含めお客様の要件にあった開発手法のご提案を行っております。
システム開発でお困りのことがありましたら、お気軽にお問合せください。
参照:“スクラムガイド”. Scrum.org. 2017-10. https://scrumguides.org/docs/scrumguide/v2017/2017-Scrum-Guide-Japanese.pdf , (参照 2024-12).
Copyright© SystemEXE, Inc. all rights reserved.