第1回:予算・予算管理とは?

エクセルでの管理会計・予算管理からの脱却

ご挨拶

皆様、はじめまして。
管理会計コンサルティング部に所属しております、髙橋と申します。

皆様、今年のお正月はどのようにお過ごしでしたか?
私は実家の秋田県に帰省しながら本コラムの原稿を作成していました。今年は暖冬と聞いていたので雪が少ないことは予想していたのですが、滞在期間の5日間で1度も雪が降らなかったことには驚きました。ただ、そのおかげで朝早く「雪かき」に起こされることもなく、いつになく穏やかな寝正月を堪能することができました。
ちなみに「雪かき」は一般的な用語ですが、降雪の激しい東北地方では「雪よせ」「雪掘り」という言葉も存在します。処理する雪の量によって「雪かき」<「雪よせ」 br=””>
さて、今回から計6回にわたり「エクセルでの管理会計・予算管理からの脱却」というテーマでコラムを執筆させていただくこととなりました。管理会計については、以前別のコラムで詳しくお話しさせていただいておりますので、どうぞこちらをご参照ください。(→「管理会計システムの勘所」

このコラムでは会計管理の中の予算管理にフォーカスを当ててお話しさせていただければと思います。

第1回目となる今回は予算・予算管理とはそもそもどのようなものなのかという導入部分のお話をさせていただき、第2回目以降は、エクセルで予算管理を行う問題点や解決方法、今までの導入経験を基とした予算管理のシステム化についてなどのお話をさせていただこうと思っております。
私自身コラムの執筆に関しては初めての試みとなるため、至らない点も多数あるかと存じます。ただ、そんな中でも皆様に少しでも興味を持っていただけるような話題喚起が出来ればと考えておりますので、最後までお付き合いいただければ幸いです。

予算管理の重要性

予算管理とはあらかじめ作成した「予算」を実績と照らし合わせて企業をコントロールする管理手法のことを指します。粒度や手法にこそ差異はあるかと思いますが、ほとんどの企業が予算管理を実施しているのではないでしょうか。予算管理とはそれほど今日の企業活動の基本となっています。

ではなぜそれだけ多くの企業が予算管理を実施していると思いますか。
それは多くの企業にとって予算を実績と照らし合わせることで得られる情報が非常に多いと考えられているからです。

そもそも予算とは「ある一定期間の組織の目標・計画を数値に落とし込んだもの」のことです。そのため予算には「どのような業務を行うかの指針」や「事業の達成度を評価する基準」になるとともに、「会社の方向性を決める」という非常に大事な役割があります。
特に日本の企業では対象期間が1年のものを「予算」、さらに長い期間のものを「中長期計画」と呼ぶことが多くあります。

対象期間 名称 策定意義
1年 (短期)予算 事業の指針・評価の基準
3〜5年 中長期計画 企業の方向性提示

次に、主な予算の作成(編成)手法についてもお話しします。

▶トップダウン方式
経営層が作成した予算を末端まで分配する方式です。
全社として理想的な数値となりやすいですが、高めの計画値になることが多く、従業員の反感を買うリスクもあります。
▶ボトムアップ方式
末端組織が作成する計画値を積み上げて作成する方式です。
低めの計画値になる傾向にあり、積み上げた際の数値が全社としての理想(経営層の意思)とかけ離れてしまうリスクがあります。
▶トップダウン&ボトムアップ方式
トップダウン予算、ボトムアップ予算の両方を作成し、両者を照らし合わせて最終的な数値を調整する方式です。日本の企業ではこの方式の採用率が高めとなっています。

いずれも言葉で説明するのは簡単ですが、企業が大きくなればなるほど入力の手間や、集計の手間が増え、予算編成にかかる時間は増大していきます。ましてやそれをエクセルで行うとなると、その労力は計り知れません。私も営業(プリセールス)として経営企画部門や経理・財務部門の方とお話しする機会をいただいているのですが、予算編成の時期になると忙しいため、その他の業務は一旦やめて予算編成に集中するという話をよく耳にします。経営企画部門の方が本来行うべき業務ができないことは会社にとっては大きな損失になりますよね。
また、予算は作って終わりではなく本来の企業をコントロールする役割の為に適切に管理していく必要があります。

そこで上記問題を解決するためのお話しを、次回から始めさせていただきます。どうぞお楽しみに。