第6回:RPA製品選定のポイント

RPA導入の勘所

皆様こんにちは。新ビジネス推進室の國元です。

最終回となる今回のコラムでは、RPA製品の選定や導入後のポイントをご紹介して締めくくりたいと思います。

製品選定のポイント

RPA製品は世の中にたくさん出回っており、当社が調査しただけでも2018年4月時点で12製品ほどあります。

rpa_column_06_01.png 上記のとおり、開発元のほとんどは米国や英国を中心とする海外です。中でも「Automation Anywhere」「Blue Prism」「Basic Robo」が世界三大RPA3製品と呼ばれています。

RPA製品には、それぞれ向き不向きがあり価格も異なりますが、一般的な選定ポイントは以下の3つに絞り込めると思います。

自動操作可能なアプリケーションの種類

最初に挙げるポイントは、自動操作できるアプリケーションの種類についてです。これは、各製品で使用されている技術の違いにより、どのような種類のアプリケーションの操作が、どこまでできるかに違いがあるためです。

ブラウザの操作しか自動化できない製品からWindowsアプリケーションやVDI経由での操作が可能な、高度な認識技術が採用されている製品まで多岐にわたり、それぞれ強みがありますが、長い目で見て費用対効果を出すためには自社がメインで利用している業務アプリケーションを自動操作できるかどうかは重要なポイントでしょう。

管理機能の必要性(野良ロボットの抑止)

次に、セキュリティに関わる選定ポイントとして管理機能の有無が挙げられます。たとえば、ExcelやAccessで複雑なシステムを組んでしまい、その後、そのシステム作成者が退職するなどして今は誰もメンテナンスできない状態だが、大切なデータがたくさん入っているために捨てることもできない、という問題を聞いたことはありませんか?

RPA製品も人間が設定して自動化するという点ではそれと似ています。RPA製品の場合、管理サーバー以外に個人PC上でも動かせてしまうので、いわゆる「野良ロボット」がどんどん増えてしまい収拾がつかなくなるというリスクが存在するのです。

それらを一元管理するための「管理機能」は、野良ロボット抑止やメンテナンス性という観点からも不可欠です。管理機能は製品に搭載されているものと、その製品の姉妹製品を追加購入するものがありますので、導入検討の際は管理機能を含めたランニングコストで考えると良いのではないでしょうか。

日本語のドキュメント・ノウハウ

最後に挙げるのは日本語のドキュメントやノウハウについてです。RPA製品は海外製のものが大多数を占め、製品マニュアルやノウハウ資料も英語のものが多いです。自社で導入して拡大していくことや、ベンダーさんに依頼して導入を進めていくことを考えれば日本語のドキュメントが多いほうが当然のことながら導入の難易度が下がります。



製品選定以外に重要なこと

RPAが、PCの操作を教え込ませて自動処理させるソフトウェアのロボットであることはすでに申し上げましたが、それはすなわち、操作を覚えさせて正しく動作してはじめて効果が得られるということを意味します。したがってRPA製品は、購入してインストールすればそれで終わりではありません。導入した製品を業務に有効活用していくためには、自社内の環境構築や運用体制も重要です。製品の選定前後の留意点を以下に挙げてみたいと思います。

環境構築

必要なコンピュータ環境
RPA製品によって異なる動作環境(OS・ミドルウェア・CPU・メモリ・ディスク容量)やネットワーク通信条件、ロボットの配置(クライアントPC上で実行/管理サーバ上で実行)、自動化業務の数に応じた必要リソース(CPU・メモリ)、サーバの二重化等を考慮する必要あり。
管理機能の必要性
複雑な計算式やマクロを含んだExcelと同様に、管理されないロボット(野良ロボット)が増殖してしまうと、ライセンスの管理やロボットのメンテナンスが困難になってしまうため、複数ロボットをサーバー上で一括管理できる機能が必要(RPA製品により製品付属または別製品)。

ロボット作成

必要な基礎知識
RPA製品は一般的に、直感的な操作が可能でプログラムコーディングの必要もなく、一定程度のITリテラシーがあれば容易に設定可能とされているが、WebシステムのHTMLタグの知識や、Java・C#といった開発言語によるプログラミング拡張を行えるスキルがあったほうが良い。
効率の良いロボット作成
基本的な機能や操作性自体はどのRPA製品でもそれほど大きな差はないが、操作対象となるアプリケーションの部品の認識方法や認識精度、効率の良い繰り返し処理の組み方などはRPA製品ごとに差があるため、製品に合わせたロボット作成を行う必要がある。

メンテナンス

正常稼働の確認
ロボットを一度作成して自動操作が問題なく動作したら終わりではなく、正常稼働しているか(動作が停止していないか・想定と異なる動作をしていないか)を定期的に確認する必要がある。
ロボットの調整や再作成
操作対象のアプリケーションやWebサイトの仕様が変更されると、正常に動作しなくなる可能性がある(押すべきボタンのID・ラベルの文字・色・形・場所等)。稼働状況を定期的に確認し、問題がある場合は調整や再作成を行う必要がある。


RPAは単純業務を自動化してくれる、まるで夢のような技術として語られがちですが、導入対象の業務を選定し、効率的な業務フローを考えてロボットに教え込むのは人間の役割ですし、運用開始後もロボットが正しく動いているかどうかをチェックするのも人間です。ロボットが持つ能力を存分に発揮してもらうためには人間のサポートが欠かせないのです。

おわりに

全6回にわたり、RPAが注目される理由や具体的な導入イメージ、製品導入や選定のポイントなどを紹介してまいりましたが、いかがでしたでしょうか?RPAの導入に興味関心をお持ちだったり、すでに導入検討/導入中の方の少しでもお役に立ちましたら幸いです。

当社では今後も、RPA製品に関する最新動向や導入事例などを随時お知らせしてまいります。今後は特に、RPA導入の現場でのノウハウや課題を中心にお届けできればと考えております。

現状の業務に課題をお持ちだったりRPA製品の導入に際してお悩みがありましたら、ぜひお気軽に当社にご相談ください。