Oracleエラー対応(ORA-04030):ORA-04030 発生時の対処方法について

現役DBAが解説 ~Oracleエラー対応~

SQL操作時またはデータベースのログにORA-04030が発生する場合があります。

本記事では、ORA-04030が発生した際のエラー調査方法や対処方法についてご紹介します。

1. エラーメッセージ

ORA-04030: stringバイト(string,string)を割り当てようとしてプロセス・メモリーが不足しました。

2. エラー調査方法

何らかの原因によりメモリ割り当てに失敗すると、ORA-04030が発生します。
検知した際には、まずはどのような状況によってメモリ割り当てに失敗したのか調査を行うことが大切です。
実際にどのように調査を行っていくのかご紹介します。

① データベース関連ログファイルの確認

まず、エラーが発生した時間帯付近の情報を、以下の各種ログファイルから確認しましょう。
エラーメッセージに付随して、どのようなセッションやプロセスでORA-04030が発生しているのかなど、有益な情報を得られる場合があります。

  • データベースアラートログファイル
  • トレースファイル(エラーに関連するトレースファイルがある場合、アラートログファイルにファイルパスが記載されています)
  • インシデントファイル(エラーに関連するインシデントファイルがある場合、アラートログファイルにファイルパスが記載されています)

② メモリの使用状況を確認

エラーが再現できる場合は、各プロセスの物理メモリやスワップ領域の使用状況をモニタリング(UNIX系:top、vmstat、psコマンド等、Windows:パフォーマンスモニター)しながら処理を実行し、メモリを多く使用するプロセスが多数稼働しているか、単一のプロセスが大量にメモリを使用しているかなど、どのような状況によってエラーが発生しているのか確認します。

なお、定期的なモニタリングの仕組みを整えておくことで、エラー発生後でも状況を確認することができますし、通常時と比較して異常を検知することも可能になります。

③ データベース情報の確認

エラー発生時にデータベースにてどのような処理が実行されているのかを確認することで、エラー起因となる処理の特定や全体的な負荷状況を把握することができます。

例として、以下のような方法にてセッション情報を確認できます。
なお、※マークがついている方法は、ライセンス状況によって使用できない場合があるため、ご注意ください。

  • Oracle Enterprise Managerを利用して、ASH分析画面を表示しデータベースのパフォーマンス状況を確認 ※
  • アクティブセッション履歴(V$ACTIVE_SESSION_HISTORY、DBA_HIST_ACTIVE_SESS_HISTORY)からセッション情報や使用PGAメモリの確認 ※
  • V$SESSION、V$PROCESSからセッション情報や使用PGAメモリの確認
  • STATSPACKやAWRレポートを利用して、エラー発生時間帯の性能分析レポートを出力し状態を確認 ※

3. エラー原因と対処方法

ORA-04030は、OSのメモリが不足する場合や、Oracle データベースサーバ側のサーバプロセスが使用できる上限値を超えたためにOSのメモリを獲得できない場合に発生します。

① OSのメモリ不足により発生

サーバ内の他のプロセスによって物理メモリやスワップの使用率が高く空きがない場合や、エラー発生原因の処理が大量のメモリを使用してしまうことでサーバのメモリが枯渇してしまう場合に、メモリを新しく割り当てることができずORA-04030が発生します。
そのため、まずは「2.エラー調査方法」に記載した内容にて発生状況を確認しましょう。

状況を確認したうえで、サーバ本体の物理メモリやスワップ構成の見直しや、大量にメモリを使用する処理を見直しできないかご検討ください。

なお、複数プロセスが並行稼働した中でのエラーであれば、比較的稼働プロセスが少ない日時で該当処理を実行する回避方法も有効的です。

② サーバプロセスが使用できる上限値を超えたためにOSのメモリを獲得できず発生

OS側やデータベース側で設定されている上限値を超えたことにより、ORA-04030が発生している可能性があります。
その場合はサーバプロセス自体のメモリ使用量を削減するか、OS側やデータベース側の設定値を変更します。

設定項目の例として以下に記載します。

  • OS – UNIX系:カーネルやシェルで制限している場合があるため、ulimit、limit コマンド等にて設定値確認および変更を行う
  • OS – Windows系:全てのデータベースサーバプロセスは単一のプロセスoracle.exeとして動作するため、PGA_AGGREGATE_TARGET, SORT_AREA_SIZE, HASH_AREA_SIZE 等のパラメータ設定値を減少させる
  • データベース:Oracle 19c以降ではMGAがPGAに計上されるため、PGA_AGGREGATE_LIMITパラメータの設定値確認および設定値を増加させる

4. 最後に

ORA-04030が発生した際は、まずどのような状況でエラーが発生したのか、各種ログファイルやデータベース情報などから確認しましょう。

最終的にエラー対処方法を試しても解決しない場合は、調査結果を基にサポートサービスへ問い合わせすることをお勧めします。