第2回:サーバサイドセキュリティの基本と対策

インフラ技術者の雑記

コラム / 読み物

本ブログでは情報セキュリティに関する情報を紹介します。
サーバサイドセキュリティは、組織の情報インフラを保護し、ビジネスの継続性を確保するための基本です。

今回はサーバサイドセキュリティの役割と重要性、およびサーバサイドセキュリティ対策についてご説明します。

■「情報セキュリティ」シリーズ
・第1回:情報セキュリティの基本と重要性

1.サーバサイドセキュリティとは何か

サーバサイドセキュリティは、ウェブサイト、データベース、アプリケーションサービスなどの中心的な役割を担っています。
こうしたサービスが攻撃によって危険にさらされると、ビジネスに直接的な影響を及ぼします。
そのため、サーバサイドセキュリティは、企業のデジタル資産を守るための基盤として重要な役割を担っています。

サーバサイドセキュリティの役割と重要性

次に、サーバサイドセキュリティの役割と重要性について解説します。

サーバサイドセキュリティの役割

①アクセス制御
不正アクセスを防ぎ、権限を持つユーザーのみがサーバリソースにアクセスできるようにします。

②ネットワークセキュリティ
ファイアウォール、侵入検知システム(IDS)、侵入防止システム(IPS)などを用いてサーバへの不正なネットワークアクセスをブロックします。

③データ暗号化
保存中および転送中のデータを暗号化して、データの機密性を保持します。

④脆弱性管理
定期的なセキュリティパッチの適用とシステムアップデートにより、セキュリティの脆弱性を減らします。

⑤監視とログ管理
セキュリティ監視ツールを使用してサーバの活動を追跡し、不審な活動を早期に検出します。

サーバサイドセキュリティの重要性

①データ保護
サーバは企業や組織の重要なデータを格納しており、これらのデータを不正アクセス、漏洩、損失から保護することが重要です。

②サイバー攻撃からの防御
サーバはハッキング、マルウェア、ランサムウェア、DDoS攻撃などのさまざまなサイバー攻撃の主な標的になるため、セキュリティによる防御が大切です。

③法規制とコンプライアンス
多くの法規制や業界基準(例えばGDPRやHIPAA)は、データの安全な保管と処理を要求しています。
サーバセキュリティはこれらの要件を満たすために不可欠です。

④ビジネスの連続性と信頼性
セキュリティ侵害は事業を中断させる可能性があり、企業の信頼性に損害を与えることがあります。

サーバ側の脆弱性と攻撃への脅威

ここではサーバ側のセキュリティの脆弱性とサーバの脅威となる攻撃の代表例を挙げます。

サーバ側の主な脆弱性

①OSとアプリケーションの脆弱性
・未パッチのセキュリティホールやソフトウェアのバグ
・古い、またはサポートされていないオペレーティングシステムの使用

②不適切な設定
・デフォルト設定のまま使用する、適切なセキュリティ設定の欠如
・開放された不要なポートやサービス

③弱い認証システム
・弱いパスワードや二要素認証の不使用
・管理者アカウントの不適切な管理

④ネットワークセキュリティの不備
・ファイアウォールや侵入検知システムの不適切な構成
・暗号化されていないデータの転送

⑤セキュリティアップデートの遅延
・セキュリティパッチの適用遅れ
・ソフトウェアのアップデート管理の不備

サーバに対する主な攻撃の脅威

①DDoS攻撃(分散型サービス拒否攻撃)
複数のコンピュータから同時に大量のリクエストをサーバに送り、サービスをダウンさせる攻撃です。

②フィッシング攻撃
正規のものに偽装した電子メールやウェブサイトを通じて、ユーザーの認証情報や個人情報を盗み出す攻撃です。

③マルウェア攻撃
ウイルスやワーム、トロイの木馬など悪意のあるソフトウェアを使ってサーバに侵入し、損害を与える攻撃です。

④ゼロデイ攻撃
セキュリティの脆弱性が一般にはまだ知られていない間に、その脆弱性を利用する攻撃です。

⑤SQLインジェクション攻撃
悪意あるSQLクエリをウェブアプリケーションの入力フォームなどに注入し、データベースに無許可でアクセスする攻撃です。

⑥クロスサイトスクリプティング(XSS)攻撃
攻撃者がウェブページに悪意のあるスクリプトを注入し、他のユーザーのブラウザで実行されることで情報を盗み出す攻撃です。

⑦セッションハイジャック攻撃
攻撃者がユーザーのセッションIDを奪い、そのユーザーとしてシステムにアクセスする攻撃です。

⑧パスワードアタック
攻撃者がブルートフォース攻撃やディクショナリ攻撃を使って、ユーザーのパスワードを推測する攻撃です。

⑨内部からの脅威
組織の従業員や関係者によって引き起こされるセキュリティ上のリスクです。
意図的なデータ漏洩、情報の不正利用、システムの破壊行為などが含まれるほか、誤った操作やセキュリティポリシーの遵守不足による非故意のリスクも含まれます。

2.クラウド環境におけるサーバサイドセキュリティ対策

ファイアウォールとセキュリティポリシー

以下に、クラウド設計・構築の際の対策を挙げます。

セキュリティグループとネットワークACLの使用 セキュリティグループやネットワークアクセス制御リスト(ACL)を使用して、入出力トラフィックを制御します。
アイデンティティとアクセス管理(IAM) IAMポリシーを使用して、ユーザー、グループ、ロールに対するアクセス権限を詳細に管理します。
エンドポイントセキュリティ クラウド環境へのアクセスポイントを保護し、不正アクセスや攻撃のリスクを減らします。
定期的な監査とログ管理 監査とログの記録を定期的に行い、セキュリティインシデントの早期発見に努めます。
自動化とリアルタイムモニタリング セキュリティイベントの監視とアラートを自動化し、リアルタイムでのモニタリングを実施します。

アクセス制御とパスワード管理

以下にアクセス制御とパスワード管理による対策を挙げます。

クラウド環境におけるアクセス制御

アイデンティティとアクセス管理(IAM) IAMツールを使用して、ユーザーとグループのアクセス権限を管理します。IAMポリシーにより、特定のサービスやリソースへの細かいアクセス制御が可能になります。
役割ベースのアクセス制御(RBAC) ユーザーを役割に基づいて分類し、その役割に応じてアクセス権を割り当てます。これにより、必要最低限の権限で業務が行える「最小権限の原則」を適用できます。
リソースベースのアクセス制御 クラウドリソース(サーバ、データベース、ストレージなど)に対するアクセスを、リソースごとに細かく制御します。
ネットワークのセグメンテーション ネットワークを分割してセグメント化し、各セグメントへのアクセスを厳格に制御します。

クラウド環境におけるパスワード管理

強力なパスワードポリシーの適用 アカウントに強力なパスワードポリシーを適用します。これにはパスワードの複雑さ、有効期限、再利用禁止などが含まれます。
多要素認証(MFA)の強制 アカウントへのログインに、パスワードの他にもう一つ以上の認証要素(SMS、トークン、スマートフォンアプリなど)を要求します。
パスワードの安全な管理 パスワードマネージャーを使用して、パスワードを安全に管理します。これにより、個々のユーザーが複雑なパスワードを記憶する必要がなくなります。
APIキーとシークレットの管理 サーバレスアーキテクチャやAPIを使用する場合は、APIキーとシークレットを安全に管理し、不必要な露出を避けます。
総合的なセキュリティ対策
(定期的なセキュリティ監査とレビュー)
クラウド環境のセキュリティ設定を定期的に監査し、必要に応じて更新します。

ソフトウェアのアップデートと脆弱性対策

クラウド環境では従来のオンプレミス環境とは異なるアプローチが求められます。

クラウド環境におけるソフトウェアのアップデート

自動化されたアップデート 自動アップデート機能を提供しているため、これを活用することで、セキュリティパッチやソフトウェアのアップグレードを迅速に実施できます。
無停止デプロイメント ブルーグリーンデプロイメントやカナリアリリースなどの手法を用いて、サービスの中断を最小限に抑えつつアップデートを行うことが可能です。
コンテナとマイクロサービス コンテナ技術やマイクロサービスアーキテクチャを採用することで、個々のコンポーネントを独立してアップデートすることができます。

クラウド環境における脆弱性対策

脆弱性スキャン機能の利用 セキュリティツールを用いて、定期的にシステムの脆弱性をスキャンします。これにはクラウドインフラストラクチャ、アプリケーション、APIなどが含まれます。
インフラストラクチャ即時対応機能の利用 インフラストラクチャコードを使用して、迅速に脆弱性を修正することが可能です。
統合されたセキュリティ監視ツールの利用 クラウドプロバイダーが提供するセキュリティ監視ツールを利用し、リアルタイムでシステムのセキュリティ状態を監視します。

3.おわりに

サーバサイドセキュリティは、データ漏洩、サービス中断、法的責任といったリスクから企業を守るための重要な対策です。
本記事を通じて、サーバサイドセキュリティの重要性と基本的な対策についての理解を深めていただけたら幸いです。

サーバサイドセキュリティの対策を行いたい、現在の対策を強化したい等のご要望がございましたら、ぜひお気軽にシステムエグゼへお問い合わせください。