ID管理の重要性

インフラ技術者の雑記

インフラ技術者の雑記

本ブログではID管理の概要と重要性についてご説明します。

1.ID管理とは

ID管理とは、システムやサービス利用者のIDやパスワードなどのアカウント情報を適切に管理することです。
また、管理者が各システムのアカウント情報を登録・変更・削除したり、アクセス権限の付与を行ったりすることを指します。

2.ID管理の問題点

専用のツールやサービスを導入せずにID管理をした場合、下記の問題点が生じます。

手動での管理によるミス増加

近年は社内システム以外でのクラウドサービスの利用が増えているため、同時に複数のIDを管理しなければなりません。
また、外部からシステムにアクセスできないようにしたり、情報漏えいを防ぐために、退職者のIDやテストIDなどの本来利用できないアカウント情報を精査したりしなければなりません。
しかし、手作業で複数のIDの管理や精査を行うことは負荷が高く、ミスが生じやすくなります。

セキュリティ面の問題

専用のツールを使わずにID管理を行う場合、Excelを利用するケースが多いですが、Excelファイルがサイバー攻撃などに遭うと、すべてのログイン情報・ファイル情報が流出してしまいます。
また、IDの削除漏れや不適切な権限付与など、人的ミスにより重要な情報が流出するリスクもあります。

3.ID管理の重要性

重要なのは、利用者が必要なシステムを必要なリソース・権限の範囲で利用できるようにすることです。
ID管理をしっかり行うことで、前項の問題点に記載したような手動での管理によるシステム誤操作や、ID情報の不正利用、更新間違いなどの人的ミスの発生、情報漏えいを防ぐことができます。

4.ID管理システム(統合ID管理システム)とは

ID管理による人的ミスや、セキュリティ問題を解決するためのツールがID管理システム(統合ID管理システム)です。
ID管理システムを使用することでユーザー情報の集約管理が可能になり、効率的にID管理を行えます。

では、ID管理システムには具体的にどのような機能があるのか、次の項目でみていきましょう。

5.ID管理システムの主な機能

ID管理システムの機能は、主に2つあります。

IDの集約管理

ID管理システムには中央管理サーバが存在し、全ての情報を集約して管理しています。
これにより、IDの登録・変更・削除などの管理がより簡単になります。
さらに情報を1つに集約しているため、中央管理サーバにあるデータを、最新データとして扱うことが可能になります。

セキュリティの強化

ID管理システムは中央管理サーバに情報を集約しているため、操作履歴を把握することができます。
その結果、社内不正の防止につながり、監査時には証拠として提示することが可能となります。

6.IGA(Identity Governance and Administration)とは

ID管理システムだけでは、「ID管理の重要性」に記載したような、利用者が必要なシステムを必要なリソース・権限の範囲で利用できるようにすることができません。
企業内にあるさまざまなシステムやサービスを利用するために、ユーザーが持っているIDなどのログイン情報やアクセス権限などを統制し、監視するガバナンス機能が必要になります。

そのようなガバナンス機能を持ったID管理システムのことをIGAと呼びます。
IGAとはIdentity Governance and Administrationの頭文字をとった言葉で、IDガバナンスとID管理を組み合わせたものです。
簡単に言えば、重要な情報へのアクセス権などを意識しながら管理を行うセキュリティ対策を意味します。

7.IGA導入メリット

IGAには大きく2つのメリットがあります。

セキュリティの強化

IDの集約管理により、疑わしいアクティビティの追跡と検知が容易になります。
その結果、外部からの企業システムやデータへの不正アクセス防止につながります。

コンプライアンス向上

IGA製品を利用することで、一貫性のある適切なアクセス権限の付与と見える化が可能になり、利用者が必要なシステムを必要なリソース・権限の範囲で利用できるようになります。
また、IGA製品を利用し、適切な制御を実装することで、企業はリスクを最小化し、法令順守の徹底も可能になります。

その結果、企業として必要なコンプライアンスの向上が期待でき、企業の信頼性の獲得につながります。

8.まとめ

近年、ID管理の重要性は高まってきています。
本記事でID管理を適切に行うための重要性についてご理解いただき、セキュリティ対策を今一度振り返るきっかけとなりましたら幸いです。