CASE STUDY

RAG型生成AIとAI-OCRを活用し、情報公開等の業務を効率化

導入に至った背景  紙媒体の確認作業が大きな負担に 厚生労働省 大臣官房 総務課 公文書監理・情報公開室(以下、情報公開室)では、開示請求業務、審査請求業務、審理手続業務を所管しています。日々、多くの申請や問い合わせが寄せられる中で、申請書や添付書類などのドキュメントを確認し、内容を把握する作業が大きな負担となっていました。情報公開室のご担当者は当時の経緯を次のように振り返ります。「情報公開室には多くの申請が紙媒体で送付されます。職員は申請書や添付書類を一つひとつ見読して確認しますが、枚数が多く事務処理に多くの時間を要していました。こうした課題を技術で解決できないか探していたところ、生成AIなら大量のドキュメントを短時間で理解し要約・チェックできると考えました。また、手書きも含めて紙媒体のドキュメントをテキストデータ化できるAI-OCRも組み合わせることで、一連の業務を効率化できることがわかり、導入を進めました」 導入の経緯 AI-OCRによる紙文書のテキスト化 業務効率化にあたって、最優先で進められたのが紙媒体の手書きドキュメントの文字をテキスト化するAI-OCRの導入でした。AI-OCRでテキスト化したPDFファイルは、ファイル内で検索・コピーが可能となり、これまでPDF化してもパソコンの画面を見て行っていたドキュメントの内容審査・把握の業務が効率化されました。また、手書き文字や紙媒体のドキュメントがテキストデータ化されることで、後続の業務でのAI利用も可能になりました。  RAG型対話型AIを採用「一般的な対話型AIでは、既知のインターネット上の情報・知識しか保たないため、室内の業務知識をドキュメントとしてAIに参照させるRAG型対話型AIの構築が必須でした。また、RAG型の方が、AIはRAG内の情報のみを参照するためハルシネーションを減らすことができるのも魅力でした。RAG構築にあたっては、精査されたドキュメントを中心に格納することで、検索精度の向上を目指しました」「職員がAIを利用するにあたり、あらかじめ質問文をプロンプトテンプレートとして用意することで、AIへの質問文入力の負担を減らしました。ドキュメントの要件確認、類似例検索、文章校正、墨消し候補の提示などの業務に応じたプロンプトテンプレートを用意しました」 プロジェクト進行 RAGに格納する情報の精査RAGに過去の実績や関連ドキュメントを格納し、いわゆる知識データベースとして活用することを目指す一方、RAGに格納するドキュメントの選定には、苦労もありました。 「情報公開室では、RAGについての知見が十分ではなく、どのドキュメントを格納すべきか分からない状態からのスタートでした。プロジェクト開始後は、システムエグゼの知見を踏まえ、AIの検索結果の精度を高めるため、過去実績の中でも定型的で標準的な事例を中心に選定しました。行政特有の言い回しが多用されたドキュメントですが、理解して対応していただけたのは助かりました」また、AIは、1万文字を超えるドキュメントを扱うと中間部分が抜け落ちることがあるため、RAGに格納するドキュメントは1万文字以内にする、または段落ごとに構造化・分割して投入するなどドキュメントの特性に応じて登録方法を工夫しました。さらに、ドキュメントをベクトルデータベース化し、手続きの種類やファイル種別などのメタデータを付与しました。AIがドキュメントを検索する際に、ドキュメントの内容に加えメタデータも参照することで、検索精度の向上を図りました。 ローコードツールにより開発期間を短縮本プロジェクトは開発期間が約2カ月と限られており、短期間で利用者の要望を反映できる画面の構築・改修が重要でした。そこでローコード開発環境であるOracle APEXを活用したアジャイル開発を進めました。Oracle APEXは、ローコードで画面を構築・改修できるため、短期間での対応に適しており、運用を踏まえた柔軟な改修も可能です。Oracle Cloud Infrastructure(OCI)を活用したクラウド基盤と組み合わせ、調達要件を踏まえたセキュリティ対策も実装しました。 「自由度の高い画面設計や、プロンプトテンプレートの作成・編集機能といったユーザーの要望に合った機能を実装し、当初提示していた基本要件を上回る環境が叶いました。セキュリティ面でも、グローバルIPアドレスによるアクセス制限、暗号化通信、ID管理に加え、トークンを利用した二段階認証などが実現しています」 導入の効果 事務処理の効率化と結果報告の迅速化に向けて一般的には、1,000枚のドキュメントをPDF化して内容を理解・確認する場合、人が見読すると約100時間を要するのに対し、AIでは約数十秒で処理できるという試算もあります。この試算をそのまま処理全体に当てはめることはできませんが、情報公開室の各業務にAIを活用することで、個々の申請処理を効率化できる見込みとしています。「一つひとつの処理時間が短くなることで、職員の確認負荷を軽減できるだけでなく、国民の皆さまへの結果報告も早められると考えています。事前に各事務作業に特化したプロンプトテンプレートが用意されていることも、利便性が向上しています」 また、Oracle APEXを活用し、マスタ情報の登録・検索・更新を一元化する管理画面と、承認の進捗状況や期限を管理する画面も構築しました。これにより、業務状況の把握や管理作業の効率化を支援しています。  今後の展開 「今後も生成AI環境の検索精度等を高め、さまざまな業務機能を開発してまいります。また、得られた知見を、省内外にも広めていきたいと考えています。令和11年度までの運用期間中、日々改善を重ね、より実務に役立つAI活用環境へ成長させていきたいと考えています」今後もシステムエグゼでは、運用支援・保守管理を通じて同省のAI活用による業務効率化をサポートしていきます。 お話を伺った方厚生労働省 大臣官房 総務課 公文書監理・情報公開室 担当者  ▼関連ページ(日本オラクル社サイト) 厚生労働省、オラクルのAIサービスを活用し情報公開等事務の業務効率化、最適化を推進 ※記載されている社名、製品やサービス等の名称およびロゴは一般に各社の商標または登録商標です。 ※掲載内容はすべて取材当時のものであり、現在とは異なる場合があります。 

複数拠点の在庫・出荷情報を集約し、二次元コード活用で現場作業の効率化と省スペース化を実現

導入に至った背景 3工場の情報共有とSCM対応力の強化が必要にNISSEI ECO VIETNAM CO.,LTD.では、自動車用ワイヤーハーネスなどに使用されるプラスチックチューブ製品や、コネクター端子カバーなどを製造しています。同社はベトナム国内に3つの工場を擁しており、顧客や製品によって生産拠点が異なります。 EXEX生産管理の導入前は、各工場がそれぞれ手作業で在庫を管理しており、自工場以外の在庫状況をリアルタイムに把握することが難しい状況でした。 同社の製品は中が空洞でかさばるため顧客側も多くの在庫を持ちにくく、正式な注文や出荷指示が直前になるケースがあります。そのため、在庫を正確に把握できていないと、納期回答や出荷対応、材料手配に影響が出る可能性がありました。 また顧客からも、安定供給に向けたサプライチェーンマネジメント(SCM)の強化を求められていました。特に、台風や地震、水不足、停電などにより担当する工場が停止した場合でも、別の工場から供給できる体制を整えることが急務でした。 こうした課題を解決するため、3工場の情報を共有し、在庫・出荷・生産状況を一元的に把握できる仕組みとして、生産管理システムの導入を検討しました。 システムの選定にあたっては、生産計画を細かく立てることよりも、出荷や在庫、製品の所在を把握しやすいことを重視しました。またスクラッチで開発する必要がなく、初期費用を抑えられる点もEXEX生産管理の導入の決め手となりました。 導入の流れ 専任体制を整え、現地メンバー主体で導入を推進導入プロジェクトでは、3つの工場を対象に運用を整える必要がありました。主要な部分のみを日本人スタッフが担当し、基本的には現地メンバーを中心に進める体制を構築しました。一方で、生産管理システムの導入には、ITやシステムに関する知識に加え、生産現場特有の専門用語や業務理解も必要になります。導入当初は、社内にシステム専任の人材がいなかったため、担当部署と専任担当者を設け、社内とシステム側の橋渡し役を担う体制を整えました。この専任担当者が、現場メンバーとシステム導入メンバーの間に入り、運用定着を支える役割を果たしたことが、導入を進める上での大きなポイントとなりました。 また、完全スクラッチで一から仕様を決めるのではなく、既存パッケージをベースに導入できたことも、導入のハードルを下げました。EXEX生産管理は、製造現場で必要な機能が揃っていることもあり、システムに詳しくないメンバーでも全体像を理解しやすく、現場業務に合わせて必要な部分を調整しながら進めることができました。 導入後の効果 二次元コード活用により、確認作業と保管スペースを効率化EXEX生産管理の導入後、特に大きな効果があったのは、二次元コードを活用した入庫・出庫・在庫確認の運用です。 かさばる同社の製品は、倉庫内では積み重ねて保管する必要があります。そのため、以前は高い位置や奥にある製品のラベルを目視で確認することが難しく、現物確認に手間がかかっていました。 EXEX生産管理の「タブレット・バーコード対応」機能を採用し、二次元コードで製品情報を読み取れるようになったため、ラベルを直接確認しに行く負担が減り、入庫・出庫時の確認作業がスムーズになりました。また二次元コードの活用で入庫処理のスピードが向上し、製品を素早く移動できるようになったため、現場スペースの有効活用にもつながりました。導入後は倉庫ラックも活用することで、3~4割の省スペース化が実現し、さらに入出庫や在庫確認にかかる作業負担の軽減により、約2割相当の省人化にもつながっています。 当初の課題であったSCMも、担当する工場で対応が難しい場合に別工場から出荷するなど、情報の一元管理により工場間で在庫や製品情報を共有できるようになったため、柔軟な対応が可能になりました。 導入後のサポート 現場運用に合わせた調整とカスタマイズに対応導入後は、同社の業務に合わせたカスタマイズや運用調整に対応しながら、システムの活用を進めています。 特に二次元コード読み取りの運用では、実際の倉庫環境でどの角度・距離から読み取れるかを確認しながら、現場で使いやすい方法を検証しました。高く積まれた製品やラックに保管された製品をどのように読み取るかなど、実運用を踏まえた調整を行ったことで、現場で使える仕組みとして定着しやすくなりました。 同社の業務に合わせたカスタマイズにも対応しており、EXEX生産管理の標準機能をそのまま使うだけでなく、実際の生産・出荷・在庫管理の流れに合わせて相談しながら改善できる点が、運用継続の安心感につながっています。 今後の展開 一貫したシステム化で、さらなる業務効率化へ今後は、在庫情報や生産計画、所要量計算のデータをさらに活用し、材料発注までをシステム上で完結できる運用を目指しています。 同社では、材料を約3か月前に手配する必要があるため、顧客からの受注見込みや生産計画、在庫引当をもとに所要量を正確に計算することが重要です。現在はまだ工程の一部をExcelで管理していますが、将来的には所要量計算の結果をもとに、顧客からの発注までシステム上でつなげることを検討しています。一貫したシステム化により、材料発注に関する手作業を削減できるだけでなく、発注精度の向上や確認工数の削減を目指しています。 EXEX生産管理で得られた在庫・生産・出荷データを活用し、顧客への安定供給とサプライチェーン対応力のさらなる強化を進めていく考えです。 お話を伺った方PRESIDENT丹波 雅幸 氏 ※記載されている社名、製品やサービス等の名称およびロゴは一般に各社の商標または登録商標です。※掲載内容はすべて取材当時のものであり、現在とは異なる場合があります。

ベトナム現地スタッフを中心に生産データの見える化と業務への定着を実現

導入に至った背景 直感的に使いやすいインターフェースが魅力木材用の塗料などを製造するVIETNAM WASHINでは、製品情報や原材料情報、サプライヤー情報などを担当者が個別にExcelで管理していたため、最新版の確認や情報の突合に手間がかかっていました。このため経営判断に必要なデータの取得に手間がかかり、資料作成や業務の引き継ぎにも多くの時間を要していました。また、データの作成根拠や管理方法が担当者ごとに異なっていたため、属人化や情報の信頼性にも課題を抱えていました。 こうした背景の中で、同社の取締役社長である佐々木氏は、生産管理システムの導入を検討。展示会で紹介された「EXEX生産管理」の直感的で使いやすいユーザーインターフェースを評価され、導入に至りました。また必要な機能だけを段階的に導入できるため、ミニマムな費用から始めることができ、将来的な機能拡張も見据えられる点も魅力となりました。 機能面では日本語・英語に加えて、ベトナム語にも対応しており、言語の切り替えがスムーズなことも選定のポイントでした。 導入の流れ 現地スタッフを中心に進めることで、業務への定着を推進導入にあたっては、現場の意見をできるだけ取り入れながら、VIETNAM WASHINとシステムエグゼベトナムの現地スタッフを中心に進めました。EXEX生産管理は製造現場の運用を踏まえて設計されていることもあり、業務をシステムに合わせて進める方針でも比較的スムーズに受け入れられました。要所では日本語に翻訳しながら、佐々木氏とともに導入後のゴールイメージやシステム構成を確認し、カスタマイズが必要な機能と運用でカバーする業務を整理しました。最終的には承認機能のみを追加し、大きなカスタマイズを加えずに定着につなげています。 導入後の効果 経営判断のスピードアップEXEX生産管理の導入により、製品情報や原材料情報、サプライヤー情報を一元的に管理できるようになりました。これまで数日かかっていた経営判断用の資料作成も、現在では1日でまとめられるようになり、確認作業にかかる負担が大きく軽減されています。またデータの所在や精度が明確になったことで、データの品質が向上し引き継ぎや新任担当者への説明もスムーズになりました。EXEX生産管理は他社製品比較してもリーズナブルな価格設定のため、費用対効果の高さも評価されました。 内部統制の強化サプライヤー登録や購買先変更に承認フローを設けたことで、担当者ごとの判断に頼らない運用が可能になりました。これにより、調達業務の統制が取りやすくなり、より安心して運用できる体制が整っています。 今後の展開 収率の改善にデータを活用今後は、EXEX生産管理で蓄積される生産実績データを活用し、生産ロットごとの出来高や収率の管理をさらに進めていく予定です。情報を可視化することで、ばらつきの把握や改善活動につなげるとともに、収率の安定化を通じた製品品質の向上も目指しています。EXEX生産管理を皮切りとして、将来的には倉庫や製造現場にも端末を配置し、ラベル読み取りによって投入や在庫更新をリアルタイムで行える運用も視野に入れていきたいと考えています。 お話を伺った方取締役社長佐々木 啓晃氏 (写真後列中央) ※記載されている社名、製品やサービス等の名称およびロゴは一般に各社の商標または登録商標です。※掲載内容はすべて取材当時のものであり、現在とは異なる場合があります。

プラント保守業務をアジャイル開発でDX化し、3年間で26万時間以上の効率化に成功

導入に至った背景 全社のDX化を推進 千葉事業所事業構造改革・DX推進室 室長 佐久間 修也氏 1963年に操業開始した出光興産の千葉事業所は、115万坪の広大な敷地に製油所と石油化学工場を擁しており、出光グループ全体の約20%の石油製品を生産する基幹事業所です。千葉事業所の敷地内には24時間365日稼働しているさまざまな装置やパイプラインがあり、各装置の定期保守業務は非常に重要な業務となっています。この定期保守業務の効率化を目指して2020年にスタートしたのが、「SDM(Smart Digital Maintenance)くん」プロジェクトでした。現在、同プロジェクトを牽引するDX推進室の佐久間氏は、きっかけは全社的な取り組みだったと振り返ります。「2020年に本社にデジタル変革室ができ、全社的にDXを進めることになりました。まずは製造現場からということで、出光最大のプラントである千葉事業所でヒアリングが行われました。その時に課題に上がってきたのが、定期保守の作業的な手間の問題でした」 生産技術センター システム高度化技術室 先進システム開発グループ 山口幸雄氏 現在、技術面からSDMくんのプロジェクトマネージャーを務める生産技術センターの山口氏は、当時の定期保守業務について、現場の負担が大きかったと振り返ります。 「当時は定期検査で補修が必要になると、報告書を保全部門へ渡して補修の依頼をし、運転部門に補修の日程調整を依頼する…といった業務を書類で行っていました。千葉事業所は規模が大きいので、補修件数は数百件にものぼり業務負担も大きく、補修漏れのリスクもありました」補修対応は一度でも漏れがあれば、装置の稼働を止める必要が出るなど、大きな損失につながりかねません。こうしたリスクを減らすため、まずは検査報告書のデジタル化が最優先で進められました。 プロジェクト進行 アジャイル開発により柔軟でスピーディーな開発を実現 千葉事業所 事業構造改革・DX推進室 片山 修太郎氏 本プロジェクトの特徴の一つは、アジャイル開発を採用したことでした。しかし当時はアジャイル開発の経験が豊富なメンバーが少なく、開発手法の勉強や資格取得など、アジャイル開発への理解を深めながら、2週間ごとのリリースが続くという慌ただしい日々が続きました。「現在は毎朝行っているミーティングも、最初のうちはどの時間帯に開催するのが一番効果的なのかもわからず、試行錯誤しました。また機能が追加されることで、最初は数名だったメンバーがどんどん増えて、メンバー間の情報伝達方法も変えていく必要がありました」(山口氏)DX推進室の片山氏は、アジャイル開発の特徴でもある「仕様変更」も当初はシステムエグゼの対応が追い付かず、チームの雰囲気が悪くなってしまったこともあると振り返ります。「お互いにウォーターフォールでの開発に慣れていたこともあり、仕様変更が当たり前のように起こるアジャイル開発の感覚をつかむまで、チームの雰囲気が悪くなってしまったこともありました(笑)。しかし現在は、お互いにアジャイル開発を理解しているので、システムエグゼも我々が本当にやりたいことは何なのか将来像をしっかりヒアリングしてくれて、大きなブレが発生しにくくなってきていると感じます」 千葉事業所 事業構造改革・DX推進室 新井良太氏 プロジェクトの影響範囲が広がっていく中で、大きな役割を果たしているのがアジャイル開発の役割であるプロダクトオーナー(PO)の存在だとDX推進室の新井氏は言います。「今回のプロジェクトでは、機能ごとにPOが任命され、現場ユーザーと開発側との窓口になっています。POはそれぞれ機能の専門家で、担当する機能に関しての決定権を持っているため、利用するユーザーも何か意見があれば、目の前のPOに伝えれば良いという状態はとてもわかりやすいと思います」現在はSDMくんにユーザーが直接フィードバックを送れる機能も実装しており、日に3~4件のフィードバックが送られてきます。 「こうしたフィードバックにスピード感をもって応えられるのもアジャイル開発だからこそです。打てば響くから、ユーザーからのフィードバックも途切れないし、システムへの信頼感が増して本当に使われるものになっていると思います」(新井氏) 導入の効果 業務効率化だけではない大きな成果 こうして2020年に千葉事業所でのプロトタイプのリリースが行われた後、SDMくんは検査報告書以外にもさまざまな機能を追加しながら開発が続けられています。2021年には他事業所へも展開が開始され、システムエグゼも導入を現地でサポートしました。2025年現在、SDMくんは全国4事業所の7,000人を超えるユーザーが利用する大規模な業務システムとなっています。導入による業務効率化の効果は大きく、約3年間で26万3,000時間を削減できたと試算されています。しかし効果は単に業務効率化だけにはとどまりません。「他事業所への展開を進めていくと、事業所によって管理する装置の規模や数が異なるため、そもそもの定期保守業務の進め方が異なることがありました。これをSDMくんに合わせていくことで、どの事業所でも同じ業務フローや品質で管理できるよう、業務の標準化も実現しました。またトラブルが起きた際に、過去の事例を事業所内だけでなく全事業所のデータの中から対策を調べることができるようになった点もユーザーからの評価が高いです。」(山口氏) 「今やSDMくんは業務になくてはならない存在になっています。多少の不具合や不都合があっても、どうやって良くしていこうか、育てていこうか、という意識に変わっているのを実感しています。こうした愛着を持てるのはPOの力とともに、システムエグゼがユーザーの声にすぐに応えてくれている点も大きいと思います」(佐久間氏) オフショアの利用 体制の安定化を実現 システムエグゼ  海外ビジネス推進室 DM ルーンティー ウィーンホアイ 本プロジェクトでは、機能追加や他事業所への展開により継続的に体制強化が行われましたが、2025年4月にはさらなる技術力の強化と安定化を図るために、システムエグゼベトナムのオフショア(BotDev)の利用が始まりました。開始当初は5名体制でしたが段階的に増員を進め、現在(2026年1月時点)では8名に増えています。これにより開発とテストの両面で作業の平準化が進み、体制の安定化につながっています。 しかし、佐久間氏は当初オフショア利用には、コミュニケーションやプロジェクトマネジメント面での不安もあったと言います。「システムエグゼからオフショアの打診があった当初は、やはり多少の不安はありました。でもまずはやってみようと受け入れてみることにしました」SDMくんの開発は機能ごとにチームを分けて推進しており、オフショア活用もチーム単位で進められています。開始当初は2機能での利用でしたが、コミュニケーションの要となるブリッジSEが2名体制となったことで調整力が増し、現在は3機能での利用へと拡大しています。山口氏も過去の経験からコミュニケーションに不安があったものの、実際にスタートすると早々に効果を感じられたと言います。 「まず窓口となるブリッジSEであるホアイさんの対応がすばらしかったです。依頼内容をそのまま行うのではなく、依頼した仕様で進めると発生するリスクの説明まで、きちんとフィードバックしてくれます。さらに開発のスピード感も格段に上がりました。プロジェクトが始まって5年も経つと、依頼した作業にどの程度の時間がかかるのかがわかってきます。それがオフショアを利用したら、1週間ぐらいと想定していたものが翌日にはテスト依頼がきたので、とても驚きました。「スピード感だけでなく品質も両立している点は驚きでした。これまではテストの依頼があると、必ずフィードバックする内容があるのが当たり前でしたが、オフショアで上がってくるものについては、フィードバックする内容がなかったんです。システムエグゼのオフショア開発では、1個の不具合への対応依頼から10個の不具合を見つけて修正してもらえるイメージなので、既存のシステムの改修よりも、新規の開発から入っていただくほうがフィットする感覚があります」(片山氏)インタビューではシステムエグゼの開発者からも、オフショア担当者の入念なテストに安心感があるとのコメントもあり、プロジェクトメンバーのオフショア開発への高い信頼度が伺えました。オフショア利用により、手戻りを前提にした進め方ではなく、前後の影響まで踏まえて確認し、品質を作り込みながら前に進められることが、継続的な改善と体制の安定化につながっています。 今後の展開 業務効率化からデータ活用へ プロジェクト開始から5年余りを経て、業務に欠かせないシステムとなったSDMくん。システムが成長していく中で、佐久間氏は今後の展望を2つの視点から考えていると言います。「SDMくんが導入されたことで、業務効率化と業務精度の向上が実現しました。次はこのデータを活用し、業務がどこで滞ってしまうのか自分たちの弱点に気づけるようにしていきたいと思っています。もう1点は変化への対応です。やはりSDMくんがここまで愛着を持ってもらえるのも、ユーザーの声にスピーディーに応えられてきたからこそ。業務は時代によって変化しますから、その変化に柔軟に対応できる体制を継続していきたいと思っています」 アジャイル開発によるスピード感のある開発の中、成長を続けてきた出光興産のSDMくん。今後は生成AIを利用した品質の向上なども検討されており、システムエグゼはグループ一丸となって引き続き、同社のDX推進をサポートしていきます。 ※記載されている社名、製品やサービス等の名称およびロゴは一般に各社の商標または登録商標です。※掲載内容はすべて取材当時のものであり、現在とは異なる場合があります。

市販のソフトウェア製品では難しかったDX化を予算内でゼロから実現

電話やメールを使っていた電気設備資材の発注をWebブラウザから行えるようにし、発注内容の効率化やミス削減を実現。データの見える化により、業務の可視化やデータ利活用も可能に。 オフショア利用により、懸念だった予算面の課題もクリアに。

自社にフィットしたオーダーメイド開発を予算内で実現

クラウドベースのERPシステムの利用で複雑化していたマスタデータ管理を、新たに品目マスタ管理支援システムを構築することで解決。 スクラッチ開発が必須のため予算の懸念があったが、オフショア開発を利用することで予算内での構築が実現。

海外法人に特化した機能で現地スタッフとのコミュニケーションの時間的ロスを削減

製造業向けパッケージ「EXEX生産管理」の導入事例。 初期はスモールスタートでコストを抑えることができ、将来的には事業拡大に合わせたカスタマイズが必要になるため、柔軟性の高さや言語切り替えのスムーズさが導入の決め手に。

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