IEからEdgeへの移行方法!企業の円滑な切り替え手順ガイド
2022年6月、マイクロソフトは27年の歴史を持つInternet Explorer 11のサポートを終了しました。
これにより、多くの企業が喫緊の課題として直面しているのが、Microsoft Edgeへのブラウザ移行です。
単なるブラウザの切り替えと思われがちですが、実際には社内システムの互換性確認、業務フローの見直し、従業員への教育、セキュリティポリシーの再設定など、多岐にわたる準備が必要となります。
特に、長年Internet Explorerに依存してきた業務システムを抱える企業では、移行作業が大規模プロジェクトとなるケースも少なくありません。
サポートが終了したブラウザは脆弱性が放置されサイバー攻撃の標的になりやすいため、移行を先延ばしにすることは、セキュリティリスクの増大を意味します。
一方で、準備不足のまま急いで移行すると、業務停止や生産性低下といった問題を引き起こす恐れがあります。
本記事では、企業がInternet Explorer(IE)からMicrosoft Edgeへ安全かつ効率的に移行するための具体的な手順、よくある課題とその解決策、そして移行後の運用ポイントまでを体系的に解説します。
計画的な移行により、セキュリティ向上と業務効率化の両立を実現しましょう。
目次
1. なぜ今ブラウザ移行が必要なのか
Internet Explorer 11のサポート終了により、企業は待ったなしでブラウザ移行を迫られています。
この移行は単なる技術的な更新ではなく、企業のセキュリティ体制と業務継続性に直結する重要な経営課題です。
サポート終了したブラウザを使い続けることは、深刻なセキュリティリスクを抱えることを意味します。
新たに発見される脆弱性に対する修正パッチが提供されないため、サイバー攻撃の標的になりやすく、情報漏洩やランサムウェア被害のリスクが高まります。
実際、多くのセキュリティインシデントは、古いソフトウェアの脆弱性を悪用したものです。
さらに、主要なWebサービスやクラウドアプリケーションがIEのサポートを次々と終了しています。
Google Workspace、Microsoft 365、Salesforceなどの業務に不可欠なサービスが、IEでは正常に動作しなくなっているケースが増えています。
これにより、業務効率が低下し、従業員の生産性に悪影響を及ぼしています。
コンプライアンスの観点からも移行は避けられません。
個人情報保護法やGDPRなどの規制では、適切なセキュリティ対策の実施が求められます。
サポートを終了したブラウザの使用継続は、セキュリティ対策の不備と見なされ、監査や取引先からの信頼を失う可能性があります。
しかし、多くの企業が移行に踏み切れない理由があります。
それは、長年使用してきた社内システムや業務アプリケーションがIE専用に開発されており、そのまま他のブラウザでは動作しないという問題です。
特に、ActiveXコントロールやVBScriptなど、IE固有の技術に依存したシステムは、代替ブラウザでの動作が困難です。
このような課題に対しては、段階的かつ計画的な移行アプローチが必要です。
Microsoft EdgeのIEモードを活用した過渡期の運用や、IE依存システムの段階的な刷新など、企業の実情に合わせた移行戦略を立てることが成功の鍵となります。
2. Internet ExplorerからEdgeへのブラウザ移行前の準備
ブラウザ移行を成功させるには、入念な事前準備が不可欠です。
最初に行うべきは、現状の把握と影響範囲の調査です。
まずは現行システムの棚卸しが第一歩です。
社内で使用しているすべてのWebシステム、業務アプリケーション、外部サービスをリストアップし、それぞれがどのブラウザに依存しているかを明確にします。
この作業は想像以上に時間がかかることが多く、部署ごとに独自に導入しているシステムや、長年使われているがメンテナンスされていないレガシーシステムの存在が発覚することもあります。
特に注意が必要なのは、ActiveXコントロール、BHO(Browser Helper Object)、VBScriptなどのIE固有技術に依存しているシステムの特定です。
これらの技術は他のブラウザでは動作しないため、代替策の検討が必要になります。
印鑑押印システム、電子証明書を使った認証システム、特殊なファイルアップロード機能などは、IE依存度が高い傾向にあります。
次に互換性テストの実施です。
リストアップしたシステムを実際にMicrosoft Edgeで動作させ、問題がないか確認します。
テスト環境を構築し、主要な業務フローを一通り実行してみることが推奨されます。
この段階で発見される問題は、レイアウト崩れ、機能の一部が動作しない、認証エラー、ファイルダウンロードの不具合など多岐にわたります。
移行方針の策定も重要な準備事項です。
すべてのシステムを一度に移行するビッグバン方式か、部門やシステムごとに段階的に移行するフェーズドアプローチか、企業の規模や状況に応じて最適な方法を選択します。
一般的には、リスクを分散できる段階的移行が推奨されます。
ステークホルダーとのコミュニケーションも欠かせません。
経営層、IT部門、各事業部門、外部ベンダーなど、関係者全員に移行の必要性と計画を共有し、協力体制を構築します。
特に、システムベンダーとの調整は早期に開始し、システム改修の可否や費用、期間などを確認しておく必要があります。
最後に予算とスケジュールの確保です。
ブラウザ移行には、システム改修費用、テスト環境の構築費用、従業員教育の費用など、相応の投資が必要です。
経営層の理解を得て、適切な予算を確保することが、移行プロジェクトの成否を分けます。
移行期間は、企業規模や依存システムの数によりますが、通常は6ヶ月から1年程度を見込む必要があります。
3. 段階的なブラウザ移行計画の立て方と実施手順
効果的なブラウザ移行には、綿密な計画と段階的な実施が求められます。
実践的な移行計画の立て方をフェーズに分けて解説します。
フェーズ1:パイロット導入
まずは小規模なパイロットグループで移行を試行します。
IT部門や特定の部署を対象に、Edgeを標準ブラウザとして設定し、日常業務での問題点を洗い出します。
この段階では、問題が発生してもすぐにIEに戻せる環境を維持し、リスクを最小限に抑えます。
パイロットユーザーからのフィードバックを収集し、本格展開前に課題を解決することが目的です。
期間としては1〜2ヶ月程度を想定します。
フェーズ2:段階的展開
パイロットで得られた知見をもとに、部門ごとまたは拠点ごとに順次展開していきます。
優先順位の付け方としては、IE依存度の低い部門から開始し、徐々に依存度の高い部門へと進めるアプローチが一般的です。
各フェーズの間には十分な間隔を設け、問題対応と安定化の時間を確保する必要があります。
この期間は3〜6ヶ月程度を見込みます。
この段階で重要なのが、EdgeのIEモード設定の最適化です。
IE専用システムのURLリストを作成し、エンタープライズモードサイトリストとして配信することで、ユーザーは意識せずに適切なモードでサイトにアクセスできます。
XMLファイルでサイトリストを管理し、グループポリシーやMicrosoft Intuneを使って全端末に配信する仕組みを構築します。
フェーズ3:全社展開
段階的展開で十分な実績とノウハウが蓄積されたら、全社展開を進めます。
この時点で、主要な問題は解決されており、スムーズな移行が期待できます。
ただし、予期せぬ問題に備えて、ヘルプデスク体制の強化やFAQの整備が必要です。
全社展開には2〜3ヶ月を想定します。
フェーズ4:IE完全廃止
全社員がEdgeを問題なく使用できることを確認したら、IEの使用を段階的に制限していきます。
まずは警告表示から始め、最終的にはグループポリシーでIEの起動を禁止します。
この段階では、まだIEモードは利用可能な状態を維持し、緊急時の対応手段を残しておきます。
以上4つのフェーズがありますが、各フェーズで以下の作業を行います。
事前テストの実施、エンタープライズモードサイトリストの更新と配信、グループポリシーまたはIntuneポリシーの適用、ユーザートレーニングの実施、ヘルプデスクでの問い合わせ対応、問題発生時のエスカレーションと解決、定期的なステークホルダーへの進捗報告です。
また、各フェーズで成功基準を明確に定めておくことも重要です。
例えば、重大な業務停止が発生していない、ヘルプデスクへの問い合わせが一定数以下に収まっている、ユーザー満足度調査で一定の評価を得ているなどの基準を設け、次フェーズへの移行可否を判断します。
4. 移行時に発生する互換性問題と効果的な解決方法
ブラウザ移行において最も大きな障壁となるのが、互換性の問題です。
本章では、頻出する問題とその解決方法を紹介します。
ActiveXコントロール
ActiveXコントロールの問題は、最も深刻な互換性課題の一つです。
ActiveXはIE専用の技術で、EdgeやChromeなどの他のブラウザでは一切動作しません。
印鑑押印システム、電子証明書認証、PDFビューアー、ファイルアップローダーなど、多くの業務システムがActiveXを使用しています。
短期的な対応としては、EdgeのIEモードで当該システムを動作させる方法があります。
長期的には、ActiveXを使用している機能をHTML5やJavaScriptなど標準技術で再実装するか、別のソリューションに置き換える必要があります。
表示崩れ
IEとEdgeでは、CSSの解釈やレンダリングエンジンが異なるため、レイアウトが崩れることがあります。
特に古いWebシステムでは、IE独自のCSSハックやフィルター機能を使用しているケースが多く、Edgeでは意図した表示にならないことがあります。
対策としては、標準CSSへの書き換え、ベンダープレフィックスの削除、レスポンシブデザインへの対応などが挙げられます。
認証とセッション管理
IEとEdgeではCookieやセッションの扱いが異なるため、ログイン状態が維持されない、シングルサインオンが機能しないといった問題が発生することがあります。
特にイントラネット環境での統合Windows認証では、Edgeの設定調整が必要になります。
信頼済みサイトへの登録、イントラネットゾーンの設定、認証プロトコルの見直しなどを行います。
ファイルのダウンロード
EdgeはIEよりもセキュリティが厳格で、ファイルのダウンロードや保存に関する動作が異なります。
自動ダウンロードが動作しない、ファイル保存先を指定できない、複数ファイルの一括ダウンロードができないといった問題があります。
このような問題はシステム側でのダウンロード方式の見直しや、Edgeのセキュリティ設定の調整で対応します。
印刷機能
IEとEdgeでは印刷ダイアログや印刷プレビューの仕様が異なり、帳票出力システムで問題が発生することがあります。
特に、ページレイアウトの指定、余白設定、ヘッダー・フッターのカスタマイズなどで違いが顕著です。
対策としては、PDF生成ライブラリの導入、印刷用CSSの整備、ブラウザ印刷に依存しない帳票システムへの移行などがあります。
5. ブラウザ移行後の運用管理とサポート体制
ブラウザ移行は、移行完了がゴールではありません。
移行後の継続的な運用管理とサポート体制の確立が、長期的な成功の鍵となります。
ヘルプデスク体制
移行直後は、ユーザーからの問い合わせが集中します。
効果的なヘルプデスク運営のためには、よくある質問をまとめたFAQの整備、問題の分類とエスカレーションフローの明確化、対応履歴の記録と分析が重要です。
FAQ には、Edgeの基本操作、お気に入りの移行方法、IEモードの使い方、トラブルシューティングなどを含めます。
教育とトレーニング
新入社員や部署異動者に対する継続的な教育を行います。
Edgeの基本操作、IEモードの使い分け、セキュリティベストプラクティス、トラブル時の対応方法などをカバーするトレーニングプログラムを整備します。
オンライン学習コンテンツ、動画マニュアル、ハンズオン研修など、多様な学習形態を用意することで、幅広いユーザーのニーズに対応できます。
IEモードの管理と最適化
EdgeのIEモードを使用している場合、エンタープライズモードサイトリストの継続的な管理が必要です。
不要になったサイトの削除、新規追加の申請受付、定期的な動作確認などを体系的に行う必要があります。
サイトリストの肥大化は、パフォーマンス低下やセキュリティリスクの増大につながるため、定期的な見直しが推奨されます。
モダナイゼーション計画の推進
IEモードは2029年までのサポートが予定されていますが、恒久的な解決策ではありません。
移行後も、IE依存システムの段階的なモダナイゼーションを計画的に進めることが重要です。
優先順位付けの基準としては、ビジネスへの影響度、システムの老朽化度、セキュリティリスク、保守コストなどを総合的に評価します。
セキュリティ監視と更新管理
Edgeは定期的にアップデートされ、新機能の追加やセキュリティ修正が行われます。
企業環境では、更新によって既存システムに影響が出ないか、事前検証が必要です。
Microsoft Intuneなどの管理ツールを活用し、更新のタイミングをコントロールしながら、セキュリティを維持する運用が求められます。
パフォーマンス監視も継続的に行いましょう。
ブラウザのパフォーマンスは業務効率に直結します。
ページ読み込み速度、メモリ使用量、クラッシュ頻度などを継続的に監視し、問題があれば原因を特定して改善します。
6. まとめ
Internet ExplorerからMicrosoft Edgeへのブラウザ移行は、セキュリティリスクの軽減と業務継続性の確保に不可欠な取り組みです。
しかし、IE依存システムの存在、互換性問題、ユーザー教育など、多くの課題に直面します。
システムエグゼでは、企業のブラウザ移行を包括的に支援する「脱IEソリューション」をご提供しています。
現状分析から移行計画の策定、システム改修、IEモード設定、ユーザートレーニング、移行後の運用サポートまで、ワンストップでサポートします。
豊富な実績とノウハウを活かし、企業ごとの課題に最適なソリューションを提案し、確実な移行を実現します。
詳しくは下記サービスをご参照ください。
脱IE(Internet Explorer)ブラウザ移行サービス
