テラ少額短期保険株式会社は、最先端の医療をもっと身近に、もっと手軽に受けられるようにしたいという思いで立ち上げた会社だ。異業種からの参入でありながらも、一般社団法人日本少額短期保険協会主催の第1回少額短期保険大賞に選ばれるなど注目のあるサービスを提供している。システムをゼロから作る必要がある中で重視したのは、小さく始めてストレッチできること。機能と金額のバランスの良さから「EXEX少額短期保険 基幹業務 on クラウド」を選び、スピーディーに導入を実現した。少人数、省コストで事業を運営する同社にとって、自社のシステム部門を別途、外部にも組織しているような利便性や使い勝手のよさ、セキュリティ面の安心感など導入のメリットは極めて大きい。
テラ少額短期保険(以下、テラ社)は、がんの免疫細胞療法を手がける医療ベンチャー、テラ株式会社の子会社として設立され、保険の新商品「医師が考えたがん治療のための免疫保険」(以下、免疫保険)を販売している。異業種からの参入であり、保険のシステムをゼロから作る必要があった。
とはいえ少額短期保険の会社は、生命保険や損害保険の会社と異なり、動くお金も少なければ会社の規模も小さい。「大規模なシステムをフルスクラッチで作る気はありませんでした」。こう話すのは、同社代表取締役社長の山口太一氏だ。当初からクラウド型のパッケージサービスを検討し、調べる中で、システムエグゼのEXEX少額短期保険 基幹業務 on クラウド(以下、EXEX少短)を見つけた。
見積もりをとって比較検討したのは、EXEX少短も含めて3つほど。大手ベンダーと、EXEX少短より規模が小さく価格も安価なパッケージだ。決め手は「コスト、機能、使い勝手、クラウドで提供されることなどを考えると、EXEX少短が、いちばんバランスが良かった」と山口氏は言う。大手の製品は安心感はあるがやはり高額であり、もう1社は安価なものの、テラ社の業務にフィットする形に作り込むのは難しいと感じたという。
難問はスケジュールだった。免疫保険の発売は2015年2月。このとき、すでに2014年も暮れようとしていた。2015年11月には、2つ目の保険商品「がんサバイバーのための再発治療保険」(以下、再発治療保険)の発売を目指して準備も開始していた。保険販売開始の2月までに完成版とするのは不可能だ。販売戦略とも足並みをそろえながら、必要な機能を段階的に投入することとし、以下のような順番で進めていった。
第一段階:免疫保険の契約引き受けに最低限必要な機能を盛り込む
第二段階:「Web申込み」機能完成
第三段階:「マイページ」機能完成
第四段階:再発治療保険向けの機能を整備
第五段階:「事故管理」機能完成
第一段階までは、週1回の頻度で打ち合わせをしながら機能の詳細を詰め、システムの作り込みを進めた。トータルで1年弱ほどの期間を費やして完成となった。
EXEX少短が威力を発揮したのは、Web申込みだ。第二段階で機能を盛り込んだが、ちょうどそのタイミングで、免疫保険が日本経済新聞の電子版で取り上げられた。好意的な記事であったため、一時的に申し込みが大きく膨らんだが、Web申し込み機能でスムーズに受けることができた。
「Web申し込みの利点は間違いがないことですね」こう話すのは、運用を担当する管理部長の上田修司氏だ。「手書きの申込書はかなりの確率で何らかの間違いがあります。すると代理店や契約者に差し戻すことになり、その手間が大きな負担になります」一般に少人数、省コストで切り盛りすることが多い少額短期保険事業。テラ社も同様の体制の中で、書き損じのないWeb申込みの便利さが改めて実感できたという。そのほか、名寄せ、契約更新の案内など、少額短期保険に必要不可欠の煩雑な事務手続きもすべて自動化された。
これらを通じて、今回の導入で実感されたことは、少額短期保険のビジネスには、クラウドで提供されるEXEX少短が非常にマッチしているということだ。テラ社の場合、事務手続きの一部を外部の会社に委託しているが、EXEX少短なら離れた場所からも同じ環境で作業ができ、作業の権限も細かく設定できる。「申し込み時の入力は委託先、承認は当社といった具合で権限を決め、業務フローも非常にうまく回っています」と上田氏は言う。
システム業務の経験がなくとも不自由なく使える操作性もポイントだ。上田氏もシステムの専門的な経験はないが、支障なく使い、事務委託先への指示出しなどにも不自由はない。システムエグゼ側には決まった担当者がいて、テラ社側のことをよく分かった上で、日々の疑問などにも対応する。それはサーバなどのハード面に加え、運用や助言などソフト面も含めて外部にも別途システム部門を組織しているような状態であり、身軽さ、利便性、セキュリティなどの面でメリットは極めて大きいという。
現在、テラ社では2つの保険商品をこのシステムで運用している。今後も、業務フローが同一でインターネットで完結するタイプの商品であれば、容易に運用に乗せることができるだろう。テラ社は、商品のユニークさからメディアで取り上げられることも多い。今後もキャンペーンや注目度の高いメディアへの露出などで一時的にアクセスが急増することもあるだろう。そんなときに柔軟に対応できるのもクラウドならではだ。小さくスタートして、ビジネスの成長に合わせながら自在にストレッチしていく。EXEX少短はそんなシステムだ。
「ベンチャーである我々は全く新しいマーケットで、顧客基盤もゼロの状態から事業を展開しています。いかに初期コストを抑えられるかは、事業上の大きなポイントであり、EXEX少短のおかげで小さく始められたことは非常に助かりました」と山口氏は言う。
完全版リリースからまだ間もないテラ社のシステム。現在は紙ベースの代理店経由の契約を、今後はタブレット利用によりWebに乗せることも視野に入れている。将来は、既存の代理店以外の販売チャネルも拡大するだろう。タブレットをはじめ、今後も少人数に最適な業務フローを追及する中で、EXEX少短をますます活用していく考えだ。
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