システム開発における見積り術
システム開発の見積りは、プロジェクトの成功を左右する非常に重要なステップです。
見積りというと、単にコスト計算と捉える方もいるかもしれませんが、それ以上にプロジェクト全体のロードマップを描く重要なファクターとなります。
適切な見積りを行うことで、プロジェクトは予算内で円滑に進行し、予定どおりに高品質の成果物を提供することが可能になります。
しかし、システム開発の見積りプロセスは複雑であり、多くの要素が絡み合っています。
そのため、「なぜ見積りが重要なのか」「どのように見積りを行うべきか」を理解することが、システム開発プロジェクトの成功に不可欠です。
本記事では、システム開発の見積りに関する基本的な概念から手法までを幅広くご紹介します。
小規模開発から大規模開発までの見積り手法の違い、リスク管理、精度を高めるためのポイントなど、さまざまな角度から解説していきます。
1. システム開発における見積りの基礎知識
システム開発における見積りは、プロジェクトの成功に不可欠な要素であり、プロジェクト計画やリソース配分の基盤となります。
以下は、システム開発における見積り作成のための基本のステップです。
- 目的理解
見積りの基本は、プロジェクトのコスト、時間、リソースを事前に評価することです。
これにより、適切な予算とスケジュールでプロジェクトを進められます。 - 要件の明確化
品質の高い見積りは、明確で詳細な要件定義に基づきます。
要件が曖昧だと、見積り自体も不正確になりがちです。 - スコープ定義
プロジェクトの範囲を正確に定義することで、何を含み、何を除外するかを明確にします。
これにより、追加要求によるスコープの膨張(スコープクリープ)を防ぎます。 - 工数と人月
工数(作業に必要な時間の合計)と人月(1人の作業者が1か月で完了できる作業量)を計算し、それを基に見積りを立てます。 - 見積り手法の選択
プロジェクトに適した見積り手法(例:ファンクションポイント法、ボトムアップ法、類推見積り、アジャイル見積りなど)を選択し、適用します。
各見積もり手法の詳細は次章で紹介します。 - リスク管理
見積りに影響を与える可能性のあるリスクを特定し、リスク対応計画を立てることで、予測と実績のギャップを最小化します。 - 継続的な見直し
プロジェクト進行中は見積りの精度を継続的にチェックし、必要に応じて修正します。
これは特にアジャイル形式で行うプロジェクトにおいて重要です。
見積りはプロジェクト開始時の計画として位置づけられますが、プロジェクトの進捗に応じて柔軟に対応できるような準備も重要です。
これにより、より現実的で実行可能なプロジェクト運営を支援します。
2. コスト削減の鍵:適切なシステム見積りの手法
システム開発の見積り方法にはいくつかの手法があります。
その中で代表的なものを5つ解説します。
- ファンクションポイント法
システムの機能を「ファンクションポイント」という単位で評価し、見積もる方法です。
入力(Input)、出力(Output)、クエリ(Query)、内部論理ファイル(ILF)、外部インターフェースファイル(EIF)を基準にポイントを算定し、これを基にコストや期間、複雑さ(低、中、高)に応じたウェイトを推定します。
メリット
仕様変更が容易で、異なるプロジェクト間で比較可能
言語や技術に依存せず、ユーザー視点で評価できるため、客観性が高い
デメリット
正確な見積りには、経験や専門知識が必要
初期段階での要件の明確化が不可欠 - ボトムアップ法
タスクを細分化し、各タスク・機能に必要なリソースや時間を積み上げて総コストを見積もる方法です。
メリット
詳細な分解により、見積りの正確性が上がる
どのタスクがコストのポイントになっているかを特定しやすく、コスト管理が容易
デメリット
タスク数が多いプロジェクトでは、見積りのプロセスで時間と労力を要する可能性がある
タスクの細分化やリソースの正確な評価が難しく、初期段階での不確定要素には対応が困難 - 類推見積り
過去に似たプロジェクトの実績、規模や複雑さのプロジェクトとの比較を行い、経験則を用いて見積もる方法です。
メリット
素早く見積りを行えるため、初期段階での迅速な計画策定が可能
過去の経験を活用することで、より現実的な見積りが期待できる
デメリット
過去プロジェクトが現在のプロジェクトに類似していない場合、精度が低くなる可能性がある
新規プロジェクトやこれまでに経験したことのない分野では、情報不足が課題となる - パラメトリック見積り
数学的モデルや統計的手法を利用して、過去に似たプロジェクトの実績を基に特定のパラメータに基づいたプロジェクトのコストや工数を見積もる方法です。
メリット
一貫性と透明性があり、自動化が可能なため、迅速な見積りが可能
過去のデータをベースにしているため、実績に基づく信頼性がある
デメリット
精度はモデルの質と、元となるデータの正確性に依存
新しい技術や未経験の領域では、正しいパラメータを選定するのが難しい - アジャイル見積り
アジャイル開発手法における特徴を活かした見積り方法で、各機能やユーザーストーリーに対し、ストーリーポイントやタスク時間を設定して見積ります。
メリット
チームメンバー同士のコミュニケーションが活発になり、見積りの一貫性を保ちやすい
予測が相対的なので、変更や不確定要素に対して柔軟に対応可能
デメリット
プロジェクトの全体像を見ることが難しく、逐次的な見直し及びコスト変動が発生
3. 開発規模による見積りの違いと注意点
プロジェクトの規模や要件により、見積りのニーズが変わってきます。
本章では目的や手法、規模における課題や適した見積りについて詳しく解説していきます。
小規模プロジェクト
特徴
- 迅速かつ高精度な見積り
小規模プロジェクトは範囲が限定的なため、見積りプロセスがスムーズで迅速に行える。
要件が明確で複雑でないため、精度の高い見積りが行える。 - 柔軟性
チームの規模が小さく、変更に対して柔軟に対応が行える。 - 低リスク
小さなプロジェクトは相対的にリスクが少ないため、予測しやすく、リスク管理が比較的容易。 - 迅速なフィードバック
開発サイクルが短いため、ユーザーやステークホルダーからのフィードバックをすぐに得て改善につなげることができる。
注意点
- スケールの制約
小規模であるため、プロジェクトの範囲拡大や変更に対応するための資源や期間が限られている。 - リソースの限定
少人数のチームで動くため、特定の専門的スキルが不足すると即座に影響が出る可能性がある。 - 限定的なバッファ
見積り期間が過度にタイトだと、予期せぬ問題に対して十分なバッファが取れない場合がある。
適した手法
小規模プロジェクトに適しているのは、ボトムアップ法、類推見積り、アジャイル見積りです。
小規模プロジェクトの見積りは、迅速さと精度が利点ですが、限られたリソースやバッファの不足によりリスクもあるため、バランスが重要です。
大規模プロジェクト
特徴
- 見積りのバッファ
大規模なプロジェクトでは、想定外の可能性があるため、バッファを見込む必要がある。 - 包括的なスコープ範囲の設定
スコープが広いため、包括的な見積りを行う必要がある。 - 階層的な設定
プロジェクトをタスクやサブタスクに分け、階層的に見積もることで、詳細かつ正確なコスト算出が可能
注意点
- 複雑な見積りプロセス
プロジェクトの規模が大きいため、見積りが複雑で時間と労力がかかる。 - 高いリスク
規模が大きいことにより、スケジュール遅延やコスト超過のリスクが高まる。 - 変更の難しさ
要件や環境の変更に対応するのが難しいため、柔軟な対応がとりづらくなる。 - 管理の複雑さ
プロジェクト管理が複雑化し、進捗管理やリスク管理に多大な労力が必要。
適した手法
大規模プロジェクトでは、ファンクションポイント法、ボトムアップ法、類推見積り、パラメトリック見積りが適しているケースが多いです。
大規模プロジェクトの見積りは、最初の段階で要件、スコープ範囲を明確化させることで、プロジェクト開始後の大きな変動要素を少なくすることができるかが重要です。
4. まとめ
見積りは、現行システムの状況や、要件や目的、スコープ範囲などにより、適した手法が異なります。
どの規模のシステム開発でも、計画の立て方から最終的な見積りを作成するまで、各ステップの重要性を理解することが成功への鍵となります。
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