導入製品:テストエース

「個」客マーケティングを追求するWeb戦略を支えるテスト環境とは

オイシックス株式会社 様
URLhttps://www.oisix.co.jp
所在地東京都品川区東五反田1-13-12
設立2000年6月
資本金8億3605万円
連結従業員数170名(2013年1月)
オイシックス株式会社
オイシックス株式会社サイト画面

価値観の多様化や、ソーシャルメディアなどによる情報量の増加、そしてテクノロジーの進化により、顧客を集団として捉えるのではなく、個人個人のニーズを的確に捉えようとする動きが、マーケティング分野だけではなく、重要な経営課題として認識されてきている。ECサイトを通じて、安全・安心な食材を会員に提供しているオイシックス株式会社では、食材のよさを伝えるため、サイトは頻繁に更新され、会員属性に応じてクーポンを表示するなど、パーソナライズされた情報提供にも力を入れている。このため、サイトの企画・デザイン部門は、さまざまな属性を持つ仮アカウントでテスト環境にログインし、表示を確認する必要があった。こうした作業の煩雑さを解消し、”「個」客”ごとに最適なWebサイトをスピーディーに構築するための手法とは何だったのか。本記事ではその秘訣に迫る。

新鮮できめ細かな情報提供に不可欠なテスト環境のテストデータ

オイシックスは、インターネットを通じて、一般消費者に農産物や加工食品を提供するビジネスを展開している。有機栽培の野菜、無添加の加工食品など、安全性、栄養価、価格、味にこだわり、生産者自身も安心して食べられる食材を提供することで、順調に売り上げを伸ばしている。
ビジネスの中心となるのが、定期宅配型ECサイト「おいしっくすくらぶ」だ。おいしっくすくらぶは、会員の選んだ食材が「定期ボックス」に入り、毎週、宅配便で届けられるサービスだ。定期ボックスの中身は自由に入れ替えることができ、キャンセルも自由だ。品質の高い食材と使い勝手のよさが受けて、会員数は4年で倍増。2013年には約7.5万人へと急成長した。
オイシックスは、この他にも、おとりよせサービスの「産直おとりよせ市場」、1つの商品を定期宅配する「おいトク」などのサイトも展開しているが、共通しているのはサイトの更新が頻繁なことだ。

「お客様に食材のよさを伝えるためには、タイムリーな特集記事を用意したり、画像や文章を入れ替えるなど、常に新鮮な情報を提供する必要があります。また、会員属性に応じて、適切なバナーやクーポンを表示するなど、会員ごとにパーソナライズされた情報を提供することも、サイト作りの重要なポイントとなっています」

サイトを企画・デザインする現場にとって、これはかなりハードルの高い作業だ。更新頻度が高いことに加え、会員属性に応じて情報・デザインを変えるためには、その会員の属性でサイトにログインし、表示を確認する必要がある。新しいページを作成する際も、テスト環境にページをアップロードし、さまざまな会員属性でログインし、表示内容を確認しなければならない。

「このため、Webサイトの企画担当者やデザイナーなどは、テスト環境で擬似の顧客情報を作成し、ログインして顧客ごとの表示を確認していました。しかし、特定の条件の顧客情報は作成することができないため、テストが難しい状況もありました。

毎朝、マスクされた最新テストデータがテスト環境で利用可能に

こうした課題が社内で共有されつつも、なかなか打開策が見つからない状況が続く中、2013年5月、同社の部長が、あるイベントでシステムエグゼのテストエースに出会う。本番データをマスキングし、テストデータを生成する同製品を知り、「これは使えるのではないか」とシステム部門に紹介したのである。システム部門では、さっそく6月から検証を開始。約1カ月間の検証をへて、7月には契約。8 ~ 9月には、試験を兼ねてシステム部門自身で利用することになる。

「たまたま、システム部門で大型プロジェクトが動いていたので、そこで試してみることになりました。小さなプロジェクトなら、自分たちでテストデータを作れますが、1つのサイトを立ち上げるような大規模なプロジェクトになると、テストエースのようなツールがあると助かるのです。約1万件の会員データに受注データ等が紐付いているテストデータを生成したのですが、まったく問題なく活用できました」

その後、企画・デザイナー部門がテストデータを利用しやすくなるように、テストデータの検索条件をより細かく設定できるインターフェースを開発し、社内システムから利用できるようにした。各部門の担当者が、顧客の住所や購買履歴など、テストしたい条件に沿って検索をし、テストデータを呼び出すことができるようにしたのだ。 さらに、テストエースの機能をバッチ処理で実行し、毎朝、本番環境からテスト環境にテストデータをコピーする仕組みを作った。これにより、全社員が、最新のテストデータをいつでも利用できる環境が整備されたのである。

生成されるテストデータの品質と柔軟なカスタマイズ性を高く評価

生成されるテストデータの品質と柔軟なカスタマイズ性を高く評価

今回、テストエースの導入を担当した岩井氏は、生成されるテストデータの品質の高さに驚いたという。

「お客様の名前や住所、電話番号などは、テストエースを使わなくても、適当なデータに変換しようと思えば自分たちでできます。しかし、それだとテスト品質が低下してしまいます。たとえば、弊社のお客様は全国各地にいますので、地域によって送料が変わります。テストデータは、こうした違いも反映していなければならないのですが、テストエースであれば、それが可能なのです」

また、テストデータの生成方法をカスタマイズできるのも便利だったという。テストエースでは、アドオンプログラムを追加することで、ユーザー独自のパターンでデータを変換できるようになる。岩井氏は、この機能を活用して、電子メールアドレスの変換方法をカスタマイズしたという。さらに、擬似データの生成、自動解析についても次のように高く評価する。

「本番データに含まれないデータをリストとして用意しておき、そのリストから擬似データを生成する機能も活用しています。たとえば、商品名や企業名などのリストを用意し、そこからランダムにテストデータを生成するといった使い方が可能です。また、テストエースは、データを自動解析して変換方法を提案してくれるのですが、その自動解析に独自の変換を追加できるのも便利ですね」

テストデータ作成の手間をなくし、全社でのさらなる活用を目指す

岩井 淳 氏
岩井 淳 氏

本格的な運用がスタートしたばかりで、「具体的な活用はこれから」と語る岩井氏だが、新しいシステムへの期待は高い。今後、想定される活用方法について、岩井氏は次のように述べる。

「現在は、大きく2つの使い方を想定しています。1つは、システム部門での活用です。前述したように、大きいプロジェクトの場合、数万件規模のテストデータが必要になりますので、テストエースがあると大変助かります。もう1つは、当初の課題であった企画・デザイン部門での活用です。これまでのように、各部署で個別にテストデータを作成する必要がなくなりますので、作業効率は大幅に向上するはずです。すでに一部の社員からは『これは凄い』『これは便利』といった反応が返ってきています。また、これまでは難しかったテストも可能になりますので、テストデータがないので検証できない、といったこともなくなると思います」

なお、すでに活用しているユーザーからは、「検索条件を追加してほしい」といった要望も上がっているという。このため、設定できる条件をマスター管理し、プログラムを改修することなく条件を簡単に変更できる仕組みを作っているということだ。

テストエースの導入により、オイシックスのサイト作成・更新・確認の作業は、確実に効率化された。さらに、システム部門での開発時間の短縮にも貢献している。今後、システムの利用が他部門にも広がれば、さらに新しい活用方法も生まれそうだ。

オイシックスと同様に、最新情報を提供するためサイトを頻繁に更新し、会員属性を使ってパーソナライズされた情報提供を行っているECサイトは多い。こうしたサイトを運営している企業にとっては、大いに参考になるのではないだろうか。

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